■宇佐美直道議員
▽木曽川水系連絡導水路事業に関する多くの懸念について
(1)導水路工事による地下水位の低下の懸念
西平ダム上流の取水口から谷汲地区を横断して根尾川まで導水路が通る計画になっているが、リニア新幹線工事の現実を目の当たりにして町はどのように考えているのか。
(2)住民に対する事業内容の説明が不足していることの懸念
導水路の通過予定地域は導水路建設事務所のホームページで検索できるが、該当する地域住民にはほとんど周知されていない。今後、周辺住民に対して事業の趣旨や工事の影響など丁寧な説明が必要であると思うが、町はどのように考えているのか。
(3)導水路事業の完成時期が見通せない懸念
事業期間は、調査設計、用地補償、工事など合計で12年、さらに土地所有者、周辺住民の了解を得るまでの期間が必要であるとされている。町はどれくらいの事業期間を考えているのか。
(4)完成後ほとんど利用されない懸念
導水路流量は最大で毎秒20立方メートル。その大半は、木曽川、長良川の異常渇水時にしか流さないことになっている。こういった異常事態が毎年起こるのか。どれくらいの想定でこういった答えが出たのか。
これらの懸念以外にも、トンネル掘削時に発生する残土の問題、導水路を掘るための作業用トンネルの掘削、これらの工事に伴う自然破壊、CO2の発生など導水路事業はあまりにも問題点が多いのではないか。
▽町長
8月27日に国土交通省の対応方針が事業継続と決定をされたところである。
工事による地下水位低下の懸念については、詳細な地質調査を行い適切に対応すると聞いており、安全に工事が進められるものと考えている。町内関係者への説明会については、適切な時期に開催されると聞いており、その情報を適宜住民に対して周知したい。
施工方法の見直しあるいは昨今の建設業者の労働環境改善、膨大な事業費により相当な期間を要することはやむを得ないものと承知している。
完成後の導水路は、水道水や工業用水として利用されるもので、検証作業の中で現行案が最も適切であると判断されたと聞いている。また、漏水事故や予測困難な異常気象、異常渇水の頻度を尋ねられても答えることはできないが、導水路事業は安定的な利水の供給や異常渇水時におけるリスクに備え実施されるものと考えている。
そのほか工事の実施方法やCO2の発生などの問題についての指摘もあるが、本事業は、水資源機構が行う国家プロジェクトであるということから揖斐川町として懸念をされることに対しては当然に丁寧な説明と対応を求めていく。
本導水路事業の完成が徳山ダムの利水・治水の建設目的の達成となるものである。全国でも類を見ない旧徳山村全村移転を余儀なくされた住民の苦渋の決断と約半世紀の時間を費やしたことを踏まえ、徳山ダムの全ての効果が早期に発揮されるよう今後も引き続き国や水資源機構に導水路事業の推進を強く要望していく。
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