文字サイズ
自治体の皆さまへ

教育長コラム

25/41

岐阜県笠松町

■子どもの話
羽島郡二町教育委員会 教育長 野原弘康

私の小学校長時代の話です。昼休みに児童とバスケットボールをしていました。児童に少し格好良いところを見せてやろうと思い、レイアップシュートを試みました。その瞬間、右足からバシッという音がして激痛が走りました。思わず「やってしまった」と思いました。児童の手前もあり、昼休みが終わるまで、座って遊びを見守っていました。体育館から職員室に戻ろうとしましたが、右足を地面につけることができず、教頭先生に助けを求めたところ、私の意に反してすぐに救急車を要請してしまいました。
午後の授業が始まる時刻でしたが、全校の児童は、私が乗った救急車を見ていました。私は近くにいた児童に、手のひら前後に動かし「授業が始まるから教室へ戻るように」と合図を送る中、病院へ搬送されました。病院では、「ひどい肉離れ」で全治1ヶ月と診断されました。
その日の夕方のことです。保護者のラインが炎上し、「校長先生が骨折をした。頭から血を流した。入院したそうだ。」など様々な情報が飛び交ったようです。どうしてこのような内容になるのか不思議でなりませんでしたが、幸いにも「子どもと遊んでくれていて…」という私への肯定的な思いがあったことを聞き、痛みの分、嬉しかったことも覚えています。
中には「『校長先生は救急車から手を振っていた。』と子どもが言っていた。」との内容もあったようです。大人からすれば、妙な話だと思われるでしょう。きっとその子どもは、私が送った合図を「手を振っていた」という言葉で伝えたのです。発達段階にもよりますが、児童の表現を改めて学んだ時でもありました。
さて、家庭において、子どもが学校での出来事を話し、保護者がじっくりと聞いてあげることはとても大切です。そうした時間をもつことを続けてほしいと思います。しかし、話の中で疑問に思うことや納得のいかないことを聞き、思わず感情が高ぶってしまうこともあると察します。
そうした時は、「子どもからこのような話を聞いたのですが…」と学校に尋ねていただきたいです。
学校では、意図をもって指導していますが、子どもの話から意図や状況が十分に伝わらないこともあります。
学校と家庭、互いの理解を深めるためにも、必要に応じた対話を大切にしたいと思います。そこから育まれる信頼関係が、子どもの健全育成の原点であると思っています。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU