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[特集]関心が地域貢献に 成年後見制度

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岐阜県美濃加茂市

ひとり暮らしの自分や家族、身近な人が認知症になったらと将来が不安に思うことはありませんか。
今回の特集では、権利や財産を守る「成年後見制度」と成年後見制度に携わる身近な人を紹介します。
普段聞き慣れなかったり、馴染みがなかったりする人も多いかもしれませんがこの制度の学びを通じて、将来のことを少し考えてみませんか。

■2種類の成年後見制度と市民後見人の存在
成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどによって物事を判断する能力が十分ではない人に対して、本人の権利を守ってくれる人(支援者)を選ぶもので、本人を法律的に支援する制度をいいます。
「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があり、法定後見制度は認知症などで既に判断能力が不十分な人を対象とするのに対し、任意後見制度は判断能力が不十分になる前に将来に備えて活用できる制度です。
今回は、成年後見制度の中でも利用者の多い法定後見制度について紹介します。法定後見制度は、本人の判断能力によって「後見」、「保佐」、「補助」の三つの類型があり、家庭裁判所が弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職、親族、法人などをそれぞれ「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」として選任します。
いずれも、本人の心身状態や考えを尊重し、金銭や不動産などの「財産管理」と、介護や福祉サービスを受ける手続きといった「身上保護」を主に行います。

近年の高齢化などに伴い、岐阜県の認知症高齢者数は、令和7年に約11万人、令和12年には約12万人となる見込みです。また、家族関係の希薄化などにより、社会的な支援を必要とする人も増えてきています。そのため、成年後見制度の利用増加が見込まれ、支援する側の人材不足が懸念されます。
そこで、新たな担い手として注目されるのが「市民後見人(※)」です。本人に身近な存在である市民後見人は、地域実情に応じた細やかな支援ができる存在として、市民目線での支援に期待が寄せられています。
今回、岐阜県社会福祉協議会が開催した「市民後見人養成研修」に美濃加茂市から市民3人が受講し、修了されました。皆さんは、昨年度2月号の広報紙に掲載した、市民後見人の記事を読んだことで受講を決められたそうです。今回は、そのうちの2人に受講のきっかけや研修の様子などをお聞きしました。

▽(※)市民後見人
弁護士や司法書士などの資格を持たない、親族以外の市民による成年後見人等のこと。市町村などが実施する養成研修を受講し、成年後見に関する一定の知識や態度を身に付けた人の中から、家庭裁判所により選任された人のことを指します。なお、選任されるには成年後見人などの類似業務などの実績が必要。

■interview
▽制度と現場の両面から体感
今瀬(いませ)しのぶさん

医療・介護の仕事に従事していた経験もあり、成年後見制度のことは知っていましたし、利用している人と接する機会もありました。
研修では、成年後見制度や市民後見人の事例紹介だけでなく、取り巻く環境や課題、制度利用者の推移なども学び、独居高齢者などの増加による今後の制度需要の高まりをひしひしと感じました。
仕事での経験と研修で成年後見制度を学んだことで、改めて制度を利用する際には、本人が大事にしていることや、信頼関係の構築が大切だと思いました。一方、適切な制度利用のために、若いうちから社会の状況や課題を自分事として捉え、将来の選択肢に関心を持つことも重要であると感じています。

■interview
▽誰一人取り残さない社会へ
渡邉 隆(わたなべたかし)さん

民生委員を務めることになり、自分が住む地域への見方が変わってきたときに出会ったのが「市民後見人」の存在でした。
研修では座学だけでなく、実際に支援が必要となる人の自宅にも伺い福祉サービスが担う役割の重要さと、その責任の重さも実感しました。
時代の変化とともに、地域間での交流が減り、つながりがなくなってきたことも、成年後見制度の需要の高まりに影響していると思います。
制度を必要とする人に関わる行政や福祉・介護従事者、さらには地域全体が相互に連携できる社会が生まれることで、誰一人取り残さない社会が形成されると思います。その第一歩として成年後見制度や市民後見人をぜひ知っていただきたいです。

■Pick Up
◆成年後見人等にお願いできることの例
▽財産管理(ざいさんかんり)
・預金通帳などの管理
・税金や保険料、公共料金、介護費用などの支払い
・不動産の管理や処分
・遺産相続の手続き
・不利益な契約の取り消し

▽身上保護(しんじょうほご)
・適切な医療を受けるための手続き
・要介護認定などの申請
・介護サービス利用、介護施設入所のための契約
・家賃の支払いや契約更新

▽成年後見人等にお願いできないことの例
・介護や食事の世話など
・身元保証人になること
・賃貸借契約の保証人
・手術や医療行為への同意

※本人の判断能力(後見、保佐、補助)や生活状況により支援内容は変わります

■Information
市権利擁護支援センターでは「まちづくり出前講座」で成年後見制度に関する次の2講座を行っています。
・「知っておきたい!成年後見制度」…法定後見制度について説明します
・「知っておきたい!任意後見制度」…任意後見制度について説明します
新年度も講座を行いますので、ご興味のある人はひとづくり課または高齢福祉課までお問い合わせください。

問合せ:
・高齢福祉課高齢福祉係【電話】内線504
・ひとづくり課市民活躍推進係【電話】内線360

問合せ:美濃加茂市権利擁護支援センター
・高齢福祉課高齢福祉係【電話】内線504
・福祉課障がい福祉係【電話】内線325
・市社会福祉協議会【電話】28-1126

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