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吉備中央町文化財探訪記(28)

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岡山県吉備中央町

~町内にある文化財を探訪してみよう~

【天福寺本堂(てんぷくじほんどう)】町指定重要文化財(建造物)

■解説
天福寺は、大平山(おおひらやま)(標高697m)の東側山腹に位置する天台宗の古刹(こさつ)です。奈良時代(7世紀末)に修験道(しゅげんどう)の開祖である役小角(えんのおづぬ)が創建し、8世紀初に僧の行基(ぎょうき)によって寺の構えが整えられたと伝えられています。
戦国時代に安芸の毛利氏と備前の宇喜多(うきた)氏の戦に巻き込まれて、天正8年(1580年)に全堂宇(どうう)(殿堂)が焼失しましたが、その後慶安(けいあん)4年(1651年)に再興され、足守藩主木下家の祈願所となり、手厚く保護されました。
本堂は、桁行(けたゆき)8.2m、梁間(はりま)8.2m、柱はケヤキの円柱、屋根は銅板葺き宝形造(ほうぎょうづくり)(四枚の屋根がすべて三角形をした屋根形式)、正面と両側面を廻縁(まわりぶち)とした建物で、出入口などには蔀戸(しとみど)(分割された戸板を上部に引き上げたりはね上げて吊ったりして開閉する形式の戸)を用い、内部は荒目格(あらめごう)天井となっています。

■吉備中央町文化財保護委員からのワンポイントアドバイス
〔石田 昌德(いしだまさのり)委員〕
天福寺は、吉備高原の中央部にそびえる大平山の山腹に鎮座しているため、正面駐車場からは吉備の山並みの絶景が見下ろせます。入口には鐘楼兼仁王門(しょうろうけんにおうもん)があり、門の左側には町指定天然記念物の大鴨脚樹(おおいちょう)が植わっています。石段を上がると本堂があり、客殿・庫裏と本堂は、中庭にある池の上を通る渡り廊下でつながっています。本堂裏の護摩堂奥(ごまどうおく)の森の中に、大正時代末まで山伏姿の修験者が荒行などの修行をしていた行場跡があり、広大な寺域と豊かな森、整えられた境内、綺麗な殿堂が建ち並ぶ寺です。
賀陽小唄の一節に“大平山から眺めて立てばどちらを向いても山の波”と唄われています。往時の山上仏教の繁栄を今に伝えている天福寺にぜひ参拝してみてください。

お問い合わせ先:教育委員会事務局 生涯学習班
【電話】0866-56-9191

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