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自治体の皆さまへ

議会だより 定例議会令和6年6月(1)

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岡山県西粟倉村

■村長所信
村民のみなさまには先日の西粟倉村総合防災訓練へのご参加大変ありがとうございました。避難行動を習慣化しておくことは有事の際の判断に有効です。また、訓練を通して近隣の皆さんの避難への対応や考え方をお互いに共有しておくことは、より安心出来る共助へのヒントとなり、自分自身さまざまな気づきが得られる点でも有意義です。今後も定期、不定期を問わず避難訓練の機会を設けますので、積極的に参加していただきたいと思います。
平成の大合併を離脱して以来、持続可能な地域づくりを理念として「エネルギーの自給」「食の自給」を目標の二本柱として目指して参りました。そのうちのエネルギーの村内自給は主な電力需要の六割程度を自給できる体制となっています。今後はさらに民間への太陽光発電などの普及を加え、完全自給への道筋が見えてきている状況です。一方、食の自立という点では少し複雑です。主食である米の自給はなんとか自立性が保てていますが、その他の食品(農産物)は自給というにはおぼつかない状況だと思います。現在、日本の食糧自給率はカロリーベースで38%といわれています。自給率の低下が指摘されながら、現実的には食料生産の場である中山間地からは人口の流出が止まりません。日本からは遠く離れた場所で起こっている戦争や気候変動が物価高騰を招き、その対策としての経済対策が迫られる状況でありながら食糧自給への危機感が議論されないのは一体どういうことなのでしょうか。
農林水産省は、二〇五〇年までに日本の農地約五百万ヘクタールのうち約百万ヘクタールについては現行の化学肥料と農薬を使わない有機農業への転換を図ると明言し、その政策の一つとして「オーガニックビレッジ構想」を推進しています。オーガニックビレッジとは、「有機農業の生産から消費まで一貫し、農業者だけでなく事業者や地域内外の住民を巻き込んだ地域ぐるみの取組みを進める市町村」であり、農林水産省はこのような先進的なモデル地区を二〇二五年までに全国に百カ所創出し、さらに横展開を図っていくと告知しています。
当村は「百年の森林構想」のもとに上質な田舎を目指しており、生命を育む豊かな森林の多様性を源として持続可能な生活基盤の確立に日々邁進しているところです。今回の「オーガニックビレッジ構想」にヒントを得るまでもなく、豊かな山林の恵みが村の農業に活かされてきたことは歴然であり、将来さらに持続可能で上質な田舎を築くためには原点である安心安全で百年の森林に裏付けられた豊かな食料生産に取組まなければなりません。現在「オーガニックビレッジ構想」に参加を前提として調査を始めたいと考えていますが、慣行農業の持続が危ぶまれる中で、有機農業への転換という発想が理解されるには課題があると思います。まずは慣行農業の維持を一義的な目標としながら、実現可能な目標を定め部分的に有機農業への転換に取組むことが必要と考えています。担い手のみなさまの理解と協力、情熱がなければ実現は困難です。まずは学校給食への有機農産物の供給を目的とした体制作りを考えています。つまり、村内で生産した有機農産物は学校給食に無償で提供されることを目標にしたいと思います。行政、学校、生産者、村内事業者、消費者たる村民、またJAなども含めた「百年の森林構想」に裏付けられた村ぐるみの政策の一つとして取り組みたいと考えています。

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