未曽有の大災害となった「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」から6年が経過しました。
平成31年3月「高梁市復興計画」を定め、10年後の姿を見据えながら「自助」「共助」「公助」を軸とした取り組みを現在進めています。公助の側面が強いハード面に関しては、住宅、生活基盤、インフラなどの復旧を重点的に行い、令和4年度末で災害復旧事業はすべて完了しました。また、現在、平成30年7月豪雨災害と同等規模の災害が起きた際にも耐えうるハード面の強化も進めているところです。
一方で地域防災力の向上などソフト面に関しては、様々な課題を抱えており、行政だけでは対応ができない部分もあります。課題解決に向け、最も大切なことは地域住民一人ひとりが一体となり、地域の自主防災活動を行っていただける体制づくりにあると考えます。実際に災害が起きた際には、地域の住民同士の迅速な連携が鍵となります。平成30年7月豪雨災害時にも、地域による一人暮らし世帯などへの水の配布や、要支援者への安否確認などにより救われた人も多く、地域の自主防災活動が大きな役割を果たしました。
今後、地域の自主防災活動を円滑に行うために必要なことは何か?実際に地域で活躍されるお二人からお話を伺いました。
■防災活動は地域づくりから
成美コミュニティ推進協議会長、山本上町内自主防災会長
黒川(くろかわ)修二(しゅうじ)さん
平成30年豪雨災害では、成羽町成美地区も被害を受けました。そこから私の住む山本上を含め4つの町内会が自主防災会を立ち上げ、地区防災計画の見直しやマイタイムラインなどの作成を行いました。現在も定期訓練や危険個所の点検などを中心とした活動を行っており、先日の大規模水害対策訓練では成美地区の約100人が参加し、住民一人ひとりの防災意識の高まりを感じました。
災害に備えて、日頃から地域の自主防災活動を行うことは大切です。しかし、いざ自主防災組織を立ち上げ、防災活動を行っていくと考えたときに、いきなり地域が一体となって活動することは現実的に困難です。そのため、まずは日常的な地域コミュニティの形成、対話ができる環境づくりに力を入れることが非常に重要であると実感しています。老若男女すべての人が積極的に地域活動へ参加することで、活気のある地域づくり、ひいてはそれが防災活動にも繋がっていくことを期待しています。
現在、他町内から自主防災会の立ち上げなどについて相談を受けています。今後は防災活動のモデル地区として私たちの取り組みを広げていきたいと考えています。
■協力し合う地域の環境づくりを
高梁市消防団落合分団指導部長
山口(やまぐち)史朗(しろう)さん
防災活動を行う上で、「共助」の部分が一番大切であると改めて感じています。協力し合える地域コミュニティが形成できれば、災害時のみならず、日常の生活でも助け合える環境ができます。
地域づくりには様々な形があると思いますが、まずは一人ひとりが少しずつでも地域に関わる姿勢が重要です。例えば、消防団で活動することもその一つだと思います。有事の際、その地域の出身者がいることで水利の情報や地理情報が有力なものとなり、迅速な対応につながります。したがって、各地域から多くの方が消防団員となってくれることは、地域防災の強化に直結するのです。すべての活動に参加できなくても構いません。皆さんには、自分が地域の人々にとって大切な存在であるということ、また、皆さん自身にとっても、地域で生活する上でこのような活動があることは良いことだと捉え、積極的に関わりを持っていただければ幸いです。
落合地区では、他地域から移り住まれている人も多く見受けられます。その人たちを含め、皆さんが地域の一員として参加しやすい環境づくりを今後も意識して行っていけたらと考えています。
自主防災組織設立・活動マニュアルより抜粋
「自助」「共助」「公助」からなる地域防災力を高め、市民一人ひとりが自ら判断して避難行動を行っていただくため、市では、マイ・タイムライン作成、非常持ち出し品の準備、防災講話や防災訓練への参加、防災士の養成、自主防災組織の設立や活動などの支援を行っています。支援の一つに、自主防災組織活動促進事業補助金があり、自主防災組織の様々な活動に役立てていただいています。
各地域で自主防災組織を結成して、「自分たちの地域は自分たちで守る」という心構えで、日ごろから防災に備えましょう。
問合せ:防災復興推進課
【電話】21-0246
■大規模水害対策訓練6月9日実施
市役所職員、消防団員、自主防災会など約600人が参加。豪雨により発生した災害を想定し、災害対策本部を設置し、市内18か所の指定避難所を開設しました。中でも成羽体育館ではより実践に近い避難所運営訓練を実施し、パーティションでの区分けや簡易ベッドの組み立てなどを行いました。また、給水車などによる給水訓練、高圧発電機車の展示も行いました。文化交流館では「AED取り扱い講習」を行い、訓練に参加された市民は消防職員や女性消防団員からAEDの取り扱いを学びました。
市では今後発生する可能性がある災害に備え、市民の皆さんの生命と財産を守るため、関係機関との連携を強化するとともに、地域防災力の強化に向けた各種取り組みを進めていきます。
問合せ:防災復興推進課
【電話】21-0246
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