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特集 JR八戸線の軌跡(1)

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岩手県洋野町

町内を南北に縦断するJR八戸線。北から、角の浜駅、平内駅、種市駅、玉川駅、宿戸駅、陸中八木駅、有家駅、陸中中野駅の8つの駅があります。
私たちの暮らしを支えてきた八戸線が種市駅まで開通したのは大正13年。来年で100周年を迎えます。
今月の特集では八戸線の誕生から現在までの軌跡を紹介します。

■大正13年の開通から町民とともに歩んだ99年
○種市駅の誕生 全線開通まで
JR八戸線が種市駅まで開通したのは大正13年11月10日。翌14年には陸中八木駅まで延伸しました。八戸線が開通したことで、郵便物が八戸まで届くのに3日間を要していたものが、1日に短縮されたほか、木炭や海産物などの取引が盛んになっていきます。
久慈駅までの全線開通を果たした昭和5年に陸中中野駅が、同29年には宿戸駅、玉川駅、角の浜駅、同34年に平内駅、同36年に有家駅が開業。利便性が高まり、八戸線は町民の生活に欠かせない存在となりました。

○八戸線開通が町の発展に
昭和49年には、種市駅開業50周年を祝う記念式典が開催されました。開通した当時は、駅前に数軒の民家しかありませんでしたが、この時には駅前を中心に官公署や民家が増え、さらに商店街が形成され、並行して経済、文化の交流も盛んになり、八戸線は町勢発展の大きな契機となりました。

○複合要因による利用客の減少
町の発展を支えてきた八戸線ですが、自動車の普及や人口減少など複合的な要因から次第に利用客が減少。JR東日本が公表した資料によると、鮫駅から久慈駅間の1日あたりの平均通過人員が昭和62年度には1650人でしたが、令和4年度には309人まで減少しました。

○震災からの復旧を願う声
平成23年3月11日、八戸線は東日本大震災大津波により線路や踏切の流出、駅舎の損壊など、甚大な被害を受けました。しかしその後、全国各地からの義援金やボランティアなど、温かい支援により、復興へ向けて動き出します。そのような中、町内中学校のPTAらが中心となり、八戸線早期復旧を願う署名活動が行われ、1479件の署名が集まります。これを受けて、町はJR東日本盛岡支社へ要望書を提出。復旧に向けた動きが加速しました。

○町をあげて祝福 復興の象徴
震災発生から約1年後の平成24年3月17日、種市〜久慈間の運転が再開。陸中八木駅では「JR八戸線全線運転再開記念式典」が行われ、大勢の町民が横断幕や手旗を振るなどして祝福。待望の全線運転再開を達成し「復興の象徴」として力強く走り出しました。
町や地域住民とともに歩んだ八戸線は、来年で100周年を迎えます。

■10th TOHOKU EMOTION
JR八戸線で運行するレストラン列車「東北エモーション」。その列車の乗客におもてなしの気持ちを込めて、大漁旗や手を振り歓迎する「洋野エモーション」は平成25年に始まりました。エモーション活動をきっかけにJR盛岡硬式野球部と町スポーツ少年団との野球交流会が行われるなど、交流の輪が広がっています。
洋野エモーションのきっかけをつくり、広めた宮本慶子さん。レストラン列車「東北エモーション」の運行開始から今年で10周年を迎え、宮本さんがデザインしたポストカードが記念として発行されました。

○宮本慶子(けいこ)さん(神奈川県横浜市在住)
元洋野町復興支援員
洋野町の皆さまお久しぶりです。宮本慶子ことケイティです。「東北エモーション」「洋野エモーション」10周年おめでとうございます。この10年間、活動を続けてくれている仲間に感謝の気持ちでいっぱいです。また、記念のポストカードの制作に関わることができ光栄です。洋野に遊びに行った際には、八戸線にも乗りたいと思います。皆さま、それまでお元気で。

■JR八戸線の沿革
○大正
13年11月 八戸線が種市駅まで開通
14年11月 陸中八木駅まで延伸

○昭和
5年3月 終点の久慈駅まで開通 陸中中野駅が開業
5年3月 三陸大津波により八戸線不通
28年 蒸気機関車の旅客運行が終わる
29年8月 宿戸、玉川、角の浜駅が開業
34年2月 平内駅が開業
36年12月 有家駅が開業
49年8月 種市駅開業50周年記念式典が開催される
58年3月 陸中中野駅が無人化

○平成
17年8月 八戸種市間開業80周年記念大会が開催される
17年12月 陸中八木駅が無人化
23年3月 東日本大震災により全線不通となる
24年3月 八戸線全線が運行を再開
25年10月 レストラン列車「TOHOKU EMOTION」の運行を開始
25年11月 洋野エモーションが始まる

○令和
5年3月 種市駅が無人化
5年10月 「TOHOKU EMOTION」が10周年を迎える
6年11月 八戸種市間開業100周年を迎える

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