◆女性の活躍のためにコミュニケーションを
市長:女性が活躍するにはまず活躍の場の一つである仕事が必要と思い、現在安来市では、女性はもちろん、地元学生、UIターン者の就職の選択肢を広げるため、ソフト産業を中心とした企業誘致を推進しています。交通の便が良いという話がありましたが、山陰道スマートインターチェンジ設置に向けた具体的な準備も始まり、交通インフラがさらに良くなると予想されますので、進出を考えている企業には安来を選んでいただけるものと期待しています。また、昨年は商業ビルの一室を借り上げ「やすぎおためしサテライトオフィス」を開設しました。3月には誘致したIT企業に入居してもらい、地元の人を雇用してもらう予定です。また、地元企業がLocaCo(ロカコ)という地域情報プラットフォームアプリを開発し、LocaCoに登録された地域店舗の広告などの作成を、女性が在宅で子育てしながらできるロカコママという仕組みもスタートされています。皆さんの視点で、安来で女性が活躍するためには何が必要と思いますか。
佐伯:保育の観点から考えるとまず子育てがしやすいまちづくりが必須だと思います。母親が安心して社会に出て行くためには、子どもが安心して「園」という家庭とは異なる社会での生活をしていけることが必須だと。そのためにも全ての子どもが一人の人間として尊重され、この町から、あるいは社会から必要とされていると実感できるような保育を充実させることが必要だと感じています。周りにいる大人が「思い」も含めた子どもの声に耳を傾け、子ども一人一人がそれぞれの興味・関心を探求し、違った良さを出し合いながら生活・遊びに向かえるような保育が重要だと考えています。更に、そうした幼少期からの遊びや生活を通して、この安来の地域資源や人に触れることが、郷土愛や地域の人へのリスペクトにも繋がるのではないかと感じます。また、福田さんが行っている親が孤立しない取り組みも重要だと思います。昔は地域の中で助け合いながら子育てをすることが当たり前の時代があり、悩み事があっても相談にのってもらい安心感をもらえるようなネットワークが地域にありましたが、今はそれが都市部も地方も希薄になっています。家族以外で気軽につながれるようなネットワーク、あるいは仕組みがこの安来に必要なのではないかと思います。
福田:佐伯さんの「全ての子どもが一人の人間として尊重される」という話から、私たち大人が尊重や敬意を払うことが「もしかしたらできているつもりになってないかな」と改めて考えてみるのも大切だと思いました。コミュニケーションとは、自分と相手の違いをお互いが理解してそれを埋め合う作業だと教わったことがあります。安来は自分も相手も大事にしながら、自分の夢を実現できるまちなんだよと誰もが心から言える機会が増えると本当に素晴らしいと思います。例えば、子どもに携わる大人が改めてコミュニケーションを学ぶ場づくり等は、佐伯さんのお話を更に色鮮やかにするんじゃないかなと思います。
市長:コミュニケーションが希薄になったのは核家族が増えたことも大きな原因の一つかなと思いますね。昔は同居の祖父母や地域の大人とのコミュニケーションから親も子もさまざまなことを学んでいましたので、そのような環境の充実は必要だと思います。今それを補う手段として放課後児童クラブの活動支援に力を入れています。世代間交流や、地元の職人さんを招いての体験交流など、地域の協力をいただいて子どもたちに多くの学びを体験してもらっています。また、高校魅力化推進事業の中で高校生に地域の活動に参画してもらったり、地域の課題解決のために取り組んでもらったりしています。その活動の中で生まれる地域の人とのコミュニケーションを通じて郷土愛を育み、地域に根差す人材になってもらいたいと思っています。
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