■“森林環境譲与税”を活用した森林の整備
森林にはさまざまな機能があり、二酸化炭素を吸収して地球温暖化の防止に役立つだけでなく、国土の保全や水源の涵養(かんよう)(地表の水が地下に染み込み蓄えられること)などにより、私たちに広く恩恵を与えています。
適切な森林の整備等を進めていくことは、我が国の国土や国民の生命を守ることにつながるため、森林を生かすしくみとして、「森林環境譲与税」が創設され、森林整備に役立てられています。
◆私たちの暮らしを支える森林
日本の国土の約7割が森林ですが、安来市もまた、総面積の7割が森林に覆われた自然豊かなまちです。
普段の生活の中で意識することは少ないですが、森林は木材の生産のためだけでなく、土砂災害の防災や環境保全、二酸化炭素の吸収などのさまざまな機能を発揮して、私たちの暮らしを支えています。
これを「森林の多面的機能」と呼びますが、この中でも日々の暮らしに直結する重要な機能の一つが、きれいな水を供給してくれる「水源涵養機能」です。
森林がある場合とそうでない場合では、土壌が水を吸収できる能力(浸透能)が大きく異なります。森林はそれだけ多くの水を蓄え、ゆっくりと水を浄化して、豊かな水を私たちに供給してくれるのです。
▽森林の水源涵養機能
土壌ごとの浸透能(mm/1時間)の比較
・裸地 79
・草地 128
・森林 258
参考:村井宏・岩崎勇作
「林地の水及び土壌保全機能に関する研究」(1975)
◆森林を生かすしくみ
こうした豊かな森林が持つ多くの機能を生かすには、森林をしっかりと整備していくことが必要です。しかし、林業の採算性の低下や、所有者が不明な森林の顕在化、担い手の不足などにより、全国的に手入れ不足の森林が増えています。
このような状況の中、令和元年に市町村による森林整備等の新たな財源として「森林環境譲与税」の譲与がスタートしました。
◆森林環境譲与税の目的と使い方
森林環境譲与税は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に基づき、市町村では「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林の整備の促進に関する施策」に充てることとされています。
安来市は、令和5年度には3500万円余りの森林環境譲与税が配分されており、主に、林業事業体が行う市内の森林整備や木材生産の促進、林業のデジタル化(林業DX)の推進などに充てています。
安来市では、森林の多面的機能が今後も適切に発揮されるように、森林環境譲与税を活用してさまざまな取り組みを進めていきます。
■「やすぎどじょっこテレビ」で特別番組を放送します
今回の特集で紹介しきれなかった森林の役割や、安来市で行われている、森林を守り生かしていく取り組みについて詳しく紹介する特別番組を「やすぎどじょっこテレビ」で放送します。
皆さん、ぜひご視聴ください。
▽安来市林政広報番組
「森林(もり)を守ろう。森を活かそう。」
令和6年2月上旬から放送開始予定
(放送時間30分、再放送あり)
問合せ:農林振興課
【電話】23-3335
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