◆仲吉 正 議員
○医療・介護の連携強化と医療DXの推進について
介護保険制度は、施行から23年が経過し、その間には、大きな制度改正が順次あり、最も大きな改正は、平成26年の医療介護総合確保推進法の施行であり、もう一つの大きな改正は、地域包括ケアシステムの構築である。
今回の質問の主眼は、医療・福祉・介護分野での人材確保対策とコロナ禍において加速的に推進されてきたデジタル技術による業務の効率化についてである。
質問(1)
医療・介護分野の人材確保対策
本町において、医療・介護分野の人材確保対策は、最大の課題であり、2040年頃を視野に入れつつ、足元の短期的な課題と共に2025年、2030年を目指した施策について「時間軸」を持って取り組む必要があると考えるが、今後の工程を提示願いたい。
〔回答 町長〕
現在、町内の様々な業種で、人材不足の問題が深刻化している。医療・介護分野では、他の業種に先駆けて人材確保に努めており、就業一時金の支給、引っ越し費用の助成、職場体験にかかる旅費助成、就業フェアへの参加助成、養成校への誘致訪問、地域おこし協力隊制度や特定地域づくり事業協同組合の活用など、様々な取り組みを行ってきている。
また、在職者のモチベーションアップや離職防止対策として、資格取得費用の助成、カウンセラーの設置助成なども行ってきている。併せて、中長期的なアプローチとして、小中学生に対する医療・介護現場の体験など、子供の頃から将来の職業として意識してもらう取り組みや、将来医療・介護の道を目指す高校生・専門学生・大学生等に対して、全額免除制度のある奨学資金の貸し付けも行っている。
これまでに様々な施策を講じてきたが、いまだに人材不足が続いている状況であり、今後とも事業者と連携して粘り強く取り組んでいく。
現在、本町の介護分野のグランドデザインの策定を進めているが、その中では、将来人口推計などを元にサービス需要を予測して検討している。将来的には隠岐島前病院の建替えについても検討される時期がくるので、その中で、同様の検討が必要になるものと考えている。今後も、より有効な施策を模索しながら、医療・介護の人材確保に取り組んで行く。
質問(2)
医療DXの推進について
医療DXでは、保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを各関係者の間で業務システムの共有化を図り、予防を促進し、医療や介護サービスを受けられるように、社会や生活の形を変えることが課題となっており、本町の関係機関においてもスピード感をもって対処する必要を感じるが、この件の所見を伺う。
〔回答 町長〕
隠岐島前病院では、コロナ禍をきっかけとして、早期からオンライン上で使用可能なコミュニケーションツール、Slack(スラック)あるいはZoom(ズーム)といったアプリを取り入れて、職員が体験することで、DXが進められてきた。令和9年度までを対象とする経営強化プランが策定され、プランの中において、DXの推進が掲げられているが、今後、院内に「医療DX推進チーム」を設置し、更に推進していく予定であると伺っている。
介護関係では、一昨年に介護ロボットやICT(情報通信技術)の試用展示会を町内で実施し、実際に職員に体験してもらうことで身近に感じてもらった。今年度は、町内の介護事業所でもICTが導入され、DXが徐々に進められている。
町としても、医療・介護現場における効率化や住民サービスの向上を図るためにも、引き続きDXを推進していく。
質問(3)
隠岐島前病院が医療の中核を担い、島前地域の町村立診療所と一元化して運営することについて
〔回答 町長〕
隠岐島前病院の経営強化プランの中において、「病診の一元化による連携強化」が掲げられている。
今後、医師・看護師などの共同研修や医療機関間での職員派遣、医薬品などの共同購入を行うことが可能な「地域医療連携推進法人」の制度導入を検討されると聞いている。
私としても、このように現場レベルで病診連携を強化していくことは、大変重要なことであると認識しているが、町村立診療所の運営については、長きにわたり各町村が主体的に取り組んできた経緯もあるので、今後、海士町と知夫村の意向があれば、検討していく。
質問(4)
島前地域の医療機関と高齢者施設を連携することについて
〔回答 町長〕
町内では、医療機関と高齢者施設の間で、地域ケア会議やサービス調整会議等の開催に加え、オンライン上のコミュニケーションツールを活用した情報共有など、質の高い連携がこれまでも図られている。
島前地域の医療機関と高齢者施設との連携、広がりについては、先ほどの島前地域の隠岐島前病院と町村立診療所の一元化がなされた後の、次のステップとして、DX化の進捗状況等も鑑みながら、将来的な可能性について検討すべきものと考えている。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>