Eerolla on asiaa
フィンランド出身国際交流員による、フィンランドや邑南町の話
■第7回 フィンランド人の言語能力と人気のある言語
▽フィンランドの言語事情
フィンランドでは次のような変化が起きています。国民の英語能力が上がる一方で、他の外国語を流暢(りゅうちょう)に話せる人が減ってきています。前世紀から国際貿易に関わってきたフィンランドでは、近年、ビジネスレベルのドイツ語、フランス語が話せる人が足りないという業界から心配の声が聞こえています。
▽言語教育の影響
幅広い言語能力を育むためにフィンランドでは、2018年に教育改革を行いました。小学校では2020年以降、以前の3年生からでなく、1年生から第1外国語を勉強し始めます。第1外国語は市町村で選択肢に多少違いがありますが、昨年まで9割以上が英語を選択しています。
英語以外の言語を選択する生徒が少ないことや、言語の先生を雇う予算が足りないことでドイツ語、フランス語などの授業が実施できない場合が多く、低学年から英語以外の第1外国語を勉強する割合はわずか1%に留まっています。
▽人気の高いスペイン語と日本語
ドイツ語やフランス語の話者が少なくなっていく一方で、スペイン語と日本語の人気が上がっている傾向があります。
例えば、ヘルシンキ大学の統計では面白いことがわかります。2017~2023年まで(最終)専攻に人気が高い言語は、英語に継いで、日本語は2番目でした!
フィンランド人は日本と日本の文化に大変興味を持っていて「日本ブーム」とも呼ばれています。ただ、フィンランド人は趣味として日本語を学んでいる人が多いそうです。他の外国語も自習アプリ、言語交換アプリを使って趣味として学んでいる人が多いと感じます。
▽フィンランドの母語は2つ
フィンランドの語学学習で複雑な点をひとつ挙げます。フィンランドには母語がフィンランド語とスウェーデン語があり、母語をスウェーデン語としているのは人口の5%です。フィンランドは母語がふたつある国で、小学6年生からスウェーデン語を必修科目として勉強し始めます。
「強制スウェーデン語」とも呼ばれ、北欧でしか話されていない言語よりも役立つ「世界の言語」(スペイン語、フランス語など)を学べないかという意見も出ています。
しかし、フィンランドの歴史に大きな影響のあるスウェーデン語は、国民の一般知識として少しでも学んだほうがいいということがよく挙げられています。
また、複数の言語を学んできた私は、言語の構成と発音の観点から、英語よりもっとフィンランド語と似ているスウェーデン語は、フィンランド人の英語力向上につながっているのではないかと思います。
▽様々な言語を習得するには
フィンランド人は色々な世界の言語に触れるようになりました。
この言語能力が業界の要求に応えられるかどうかはさておき、言語と遊ぶことが増える現象はいいことだと思います。
流暢なレベルまで言語を学ぶことは時間とやる気が必要なので、最初は勉強より言語に触れて遊んで好きになることから始めたほうが長く続けられると思います。
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