■第44回:「よく人と話すことが誤嚥を防ぐ?」
このシリーズでは総合診療医が患者さんからいただいた質問をもとに市民の皆さんが困っている症状や疑問について解説します。
先日いただいた質問はこれです。
「最近、飲み込む時にむせることが多いのですが、どうしたらいいですか?」
年を重ねることによって、むせることが多くなってきます。その原因として、フレイル※が進むことで、喉の筋肉が衰えて、水分や固形物をうまく飲み込めないことが考えられます。
喉の筋肉に関して最近の研究結果では、喉の筋肉の衰えと話す頻度が関係していることが分かっています。
最近の研究では、「話す時間が短いと嚥下(えんげ)機能がどんどん低下していく可能性がある」とされています。
中年の方々を対象にして、嚥下機能と毎日の話す時間の関係性が調査され、1日の話す時間が3時間以下の方は嚥下機能が低下している可能性があることが示されています。
高齢の方を対象とした研究もありますが、50代から60代の中年の方でも、人と話す時間が短くなると、嚥下機能が落ちて、誤嚥しやすくなるというのは驚きですね。
中年の方は仕事で話すことが多いと思いますが、将来の誤嚥のリスクを考えて、意識的に話す時間を増やしていきたいですね。高齢な方もできるだけ、友達や家族の方々と毎日話せるような環境を作っていけるといいですね。
※高齢になって、心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態
◎1日3時間以上の会話が嚥下機能低下を抑える!
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