文字サイズ
自治体の皆さまへ

視能訓練士のお話「糖尿病網膜症ってこんな病気」

6/32

島根県雲南市

検査技術科 視能訓練士 小野 悦盛(おのえつもり)

糖尿病に関連する合併症のうち糖尿病網膜症は、糖尿病腎症・神経障害とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、我が国では成人の失明原因の上位に位置します。糖尿病網膜症は、糖尿病になってから数年から10年以上経過してから発症し、かなり進行するまで自覚症状がないため注意が必要です。そこで、今回は眼の合併症である「糖尿病網膜症」についてお話します。

■網膜とは
網膜とは網膜とは、眼球の内側にある膜状の組織で、カメラでいうフィルムの役割を果たしています。網膜には、光や色を感じる働きを持つ視細胞と、それを脳に伝える神経線維からできています(神経線維が集まって束になったものが視神経)。
網膜の中心にある直径1.5~2mmの場所を黄斑部(おうはんぶ)、その真ん中の少し窪んだ部分を中心窩(ちゅうしんか)といい、一般的にものを見る時は最も解像度の高い中心窩で見ています。

◎眼球断面図
※詳細は広報紙9ページの図をご覧ください。

■糖尿病網膜症とは
糖尿病網膜症とは糖尿病網膜症は、糖尿病で血糖コントロールが悪い状態が続くために、網膜の細い血管が傷つき、血管がつまったり、出血したりするようになります。もともとある血管が障がいを受けて機能しなくなってくると、栄養分などを届けられなくなるため、新しい血管(新生血管(しんせいけっかん))ができます。この血管はとてももろく、出血や成分の漏れをたびたび起こし、視界のかすみや視力低下などの症状を引き起こします。
さらに進行すると、網膜剥離(もうまくはくり)や緑内障といった病気を併発し、失明することがあります。

■糖尿病網膜症の分類
糖尿病網膜症の分類糖尿病網膜症は、進行の程度により大きく三段階に分類されます。

◎正常な網膜
※詳細は広報紙9ページの写真をご覧ください。

◎糖尿病網膜症
・単純網膜症
・前増殖網膜症
・増殖網膜症
※詳細は広報紙9ページの写真をご覧ください。

※糖尿病黄斑症…黄斑部の血管から血液中の水分が漏れ出して黄斑部にたまり、浮腫(むくみ)が起こっている状態。単純網膜症から増殖網膜症に至るまでどの病期にも発症し、視力低下や歪みなどの症状が出る。

■糖尿病網膜症の治療
(1)網膜光凝固術(もうまくひかりぎょうこじゅつ)
網膜光凝固術にはレーザーが用いられ、通常は通院で行います。網膜光凝固術は主に網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防したり、すでに出現してしまった新生血管を減らしたりすることを目的として行います。

(2)硝子体(しょうしたい)手術
レーザー治療で網膜症の進行を予防できなかった場合や、すでに網膜症が進行して網膜剥離や硝子体出血が起こった場合に対して行われる治療です。目の中の出血や増殖組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻したりするものです。

(3)薬物注射
黄斑浮腫(むくみ)を減少させたり、新生血管を退縮させたりするための治療です。

■糖尿病網膜症を予防するには?
・定期的に眼科・内科に通院する
・血糖値を目標の値にコントロールする
・血圧・コレステロールの値を望ましい範囲にコントロールする
・喫煙をしない
・体重を望ましい範囲にコントロールする
眼科では、眼に起こってしまった病変を早期に発見して治療することが目的となります。糖尿病網膜症を予防するためには糖尿病自体を悪化させないように内科でしっかり治療することが最も重要です。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU