■「親知らずのことで悩んでいませんか!?」
歯科口腔外科 診療科部長 小池尚史(こいけたかし)
奥歯の痛みを感じた時、もしかすると親知らずが原因かもしれません。しかし、歯科医院で抜歯と言われるのが怖いと、受診をためらうこともあると思います。特に歯を抜いた経験がない方にとっては、その不安は大きいでしょう。そこで今回は、少しでも皆さんに安心してもらえるよう、親知らずの病態や治療方法について分かりやすくお話しします。
◯親知らずとは?
親知らずとは、前歯の真ん中から数えて8番目の奥歯のことをさします(図1)。成人後に親に知られずに生えてくるため「親知らず」と呼ばれるようになったようです。医学的には「第三大臼歯(きゅうし)」や「智歯(ちし)」という名称が用いられ、10代後半から20代前半にかけて生え始めることが多いです。
◯親知らずの生え方
親知らずは、全ての人に生えてくるわけではなく、先天的に存在しない場合もあります。また、一番最後に生えてくる歯であるため、生えるスペースがない場合には、完全に埋まっていたり、歯茎(はぐき)に半分被った状態で生えることも多いです(図2)。
◯親知らずの問題点とは?
まっすぐきれいに生えていれば問題ないことが多いです。しかし、生え方によっては隣の歯を圧迫して歯並びに悪影響を与えたり、歯磨きしづらい隙間ができて、虫歯や歯周病のリスクが上がってしまいます。
(1)親知らずの虫歯
歯磨きしづらい隙間に汚れがたまっていくと虫歯になります。その虫歯を放置すると、冷たいものがしみてきたり、やがては激痛を伴うように進行していきます。また、親知らずに隣り合う歯も同様に虫歯になりやすくなるため、親知らずだけの問題に留まらない場合があります。
(2)親知らずの歯周病
親知らずの周りに汚れがたまることで引き起こされる歯茎の炎症で、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれます。炎症を繰り返したり、悪化すると、顔や顎まで腫れたりと、重症化することもあります。
◯親知らずの治療方法
きれいに生えて機能している場合や、将来的に利用する可能性がある場合には抜歯せずに残すことが多いです。しかし、きれいに生えることなく、先述したような症状を生じた場合には抜歯が望ましいです。親知らずが埋まっている場合には、歯茎の切開や歯の分割をし、切開したところは抜歯後に縫い合わせます。
抜歯後の痛みや腫れは付き物ですが、抜歯中は麻酔が効いていますので、抜歯中の痛みに関しては安心してください。
また、当院では全身麻酔や静脈内鎮静法を用いた抜歯も行っています。全身麻酔は人工呼吸管理を行い完全に眠っている状態、静脈内鎮静法は鎮静薬を点滴し半分眠っているような状態をつくります。このように痛みや恐怖心を和らげる方法がありますので、ぜひ相談してください。
◯「親知らずの痛みかも?」と思ったら。
これまでお話ししてきたような症状があったら、まずはかかりつけの歯科医院を受診しましょう。必要に応じて、当院歯科口腔外科との連携が可能です。担当医の小池尚史は(公社)日本口腔外科学会専門医を取得しており、丁寧な説明を心掛け、安全安心な親知らずの抜歯を提供します。
※図は広報紙12ページをご覧ください。
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