【飯南病院便り】
◆点滴の話
飯南病院 医師 馬渕寛也
暖かくなり、屋外で活動する機会も多くなりました。うっかりしていると熱中症に、なんてこともある季節です。病院で点滴などの手当てを受けた経験のある人もおられるでしょう。今回は点滴についてのお話です。
お医者さんが病院で「点滴しましょう」と言うとき、大きく分けて3つの目的があります。
一つは水分を補うこと。重症な熱中症や感染症の患者さんは、いくらスポーツドリンクを飲んでも水分の補充が追いつかないことがあります。この場合、血管の中に直接水分を入れる緊急処置を行います。つまり点滴。この時の点滴はスポーツドリンクに近い成分です。
もう一つは栄養を補うこと。ご飯が食べられない患者さんへ行いますが、濃すぎる液体は血管を傷つけてしまうため、点滴には濃度の上限があります。このため500ミリリットル点滴をしても、おにぎり1-2個分程度の栄養にしかなりません。一方で水分の割合が多く、頼りすぎると水が余ってむくみがでます。点滴は、栄養を確保するには案外効率が悪いのです。
最後は、薬の通り道の確保。容体が急変した時すぐに薬を注射できるよう、あらかじめ点滴の針を置いておくことがあります。そのままでは血が固まって針が詰まるので、水分を補う時と同じ中身を流しておくことが多いです。
注意点もあります。例えば神経を痛めてしまうリスクです。皮膚の下には無数の神経があり、針が当たると痺れが生じます。医師や看護師は、神経がどのあたりにあるのか知っており、傷つける確率の低い場所を選んでいます。しかし身長や体型のように、神経の位置にも個人差があり、達人が行ってもリスクをゼロにはできません。
お医者さんは「点滴しましょう」の裏で、こんな風に目的とリスクのバランスを見極めています。
【保健福祉センター便り】
◆子宮頸がんワクチンで将来の子宮頸がんを予防しよう!
日本では毎年、約1.1万人の女性が子宮頸がんになり、約2,900人の女性が亡くなっています。若い年齢で発症する可能性のあるがんです。子宮頸がんワクチンは、がんになる手前の状態(前がん病変)が減るとともに、がんそのものを予防する効果があることが分かってきています。子宮頸がん予防には、ワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診(20歳以上)が大切です。
◇公費助成により無料で接種できる期限が決まっています。希望される人は、早めに計画を立てましょう。
※通常、全ての接種を終えるまでに約6か月の期間がかかります。
(令和7年3月31日までに接種を完了するためには、遅くとも令和6年9月末までに接種を開始する必要があります。)
詳しくは、飯南町や厚生労働省のホームページをご確認ください。
(本紙11ページにQRコードを掲載しています)
問合せ:保健福祉センター
【電話】72-1770
問合せ:
飯南病院【電話】72-0221
来島診療所【電話】76-2309
保健福祉センター【電話】72-1770
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