このコーナーは、営農指導員から、農業のちょっとしたコツを、お知らせします。
■野菜作りのワンポイントアドバイス
営農指導員 若山 譲(わかやま ゆずる)
季節の変わり目である10月は、気候が大きく変動しやすい月です。野菜を健やかに育てるためには、かん水(水やり)が非常に重要です。この時期に生育している野菜は、適切な水分を与えることで順調に成長します。日の短さや気温の変化に応じた、かん水のコツを身に付けることで、新鮮でおいしい野菜を収穫できます。
▽成長段階に応じたかん水
植物にとって水は命の源ですので、与え方には大きな注意が必要です。かん水の頻度や量は、成長段階によって変わるため、それぞれの段階で適切な量を理解し、野菜の状態を確認しながら行いましょう。苗の時期には水分を多く必要としますが、根が張る成長期には水の与え過ぎが根腐れの原因になりますので、注意が必要です。
また、季節や気温の影響も無視できません。施設内(ハウス)では乾燥しがちなため、かん水のタイミングが早まることもあります。野菜の種類や環境に合わせたかん水を心掛け、野菜が最良の状態で成長できるよう配慮しましょう。
▽日中と夜間のかん水の違い
日中と夜間では、気温や湿度に大きな差があるため、野菜のかん水もそれに応じた注意点があります。
日中は太陽光による蒸散が激しく、水分が早く失われるため、かん水は朝早くに行いましょう。
一方、夜間は蒸発しにくく、水分が土に長くたまるため、かん水は控え目にしましょう。
また、昼夜の温度差が激しい時は、野菜にとってストレスになるため、土の状態をよく観察し、過剰なかん水は避けることが大切です。適量の水を、野菜の成長に合わせてあげることが、実り豊かな収穫への秘訣になります。
▽土の湿り気をチェックする方法
土の湿り気をチェックすることは、かん水で最も重要な要素です。土の表面だけではなく、指を土に差し込んで、深さ5cm程度の地点で土の湿り気を確認しましょう。土の表面は乾いていても、中は湿っている場合があります。表面だけに惑わされず、定期的に土の深部の状態をチェックすることが肝心です。
この方法によって、野菜が必要とする水分を正確に把握し、最適なかん水を行うことができます。
■花作りのワンポイントアドバイス
営農指導員 永奥 啓(ながおく はじめ)
今回は本市のように比較的低温な気候でも栽培可能な品目として、草花では新テッポウユリ、枝物花木ではサクラとモモを紹介します。
1 新テッポウユリの栽培
このユリは(1)生育が早い(2)草勢が強い(3)品質がテッポウユリに比べても劣らず良好であるという、3つの特徴があります。
生育が早いので、晩秋に播種(はしゅ)(種まき)して翌年の7~9月頃に開花・出荷ができます。
さらに初年に1回切り花を行った後、次年もその球根を利用して切り花ができるため、球根類としては種苗(しゅびょう)費を抑えることができるという経営的な特徴もあります。
播種は、11月にハウス内の播種床へ散播するか、プラグトレーに播きます。
定植(ていしょく)(苗の植え付け)は遅霜(おそじも)の恐れがなくなった5月上旬に行います。連作障害を防ぐため、3年ごとに圃場(ほじょう)を替えるようにしましょう。
圃場には定植の約20日前に苦土石灰(くどせっかい)と基肥を施用して畝を作っておきます。
生育は旺盛ですが、他のユリ類と同様に葉枯病(はがれびょう)に弱いので、定期的な予防防除が必要です。
2 枝物花木の栽培
多くの労力や栽培経費を必要とせず、遊休地を活用できる花きとして代表的なものがサクラとモモになります。
苗を植え付けてから3~4年ほど株養成しないと切り枝として出荷できませんが、一度植え付けると10年以上据え置きで切り枝ができる省力的な花きです。
秋植えは11月頃、春植えは3月頃に苗を植え付けます。
肥料は多く必要としませんが、施用する場合は鶏糞を年に2回くらい撒きます。
病害虫による被害は多くはありませんが、カイガラムシがつくことがありますので、注意が必要です。
問い合わせ:農業振興課農業振興係
【電話】0824-73-1131
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