糖尿病ってどんな病気?
庄原赤十字病院 糖尿病内科 米田 真康(よねだ まさやす)
■「糖尿病」はどうしてなるの?
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が慢性的に高くなり、眼や腎臓、脳、心臓などさまざまな臓器に血管障害を引き起こす疾患群といわれています。
私たちの体の中では、ホルモンと呼ばれる生理活性物質が血液中に分泌され、寝ている間や食事をした後の血糖値を、正常範囲内(空腹時100mg/dL未満、食後140mg/dL未満)に維持しています。これらのホルモンの中で血糖値を下げるのが「インスリン」です。
インスリンは膵臓(すいぞう)で作られ、筋肉や肝臓に働いてブドウ糖を取り込み、血糖値を低下させます。しかし、膵臓から分泌されるインスリンの量が低下したり、筋肉や肝臓においてインスリンの働きが悪くなったりすると、血糖値の上昇が制御できなくなり、高血糖を生じて、糖尿病状態(空腹時126mg/dL以上、食後200mg/dL以上)になります。
糖尿病は、家系に糖尿病の人がいるといった遺伝的な素因や人種、加齢も影響していますが、食べ過ぎや運動不足など日常の生活習慣が強く関連しています。糖尿病になるのを未然に防ぐには、規則正しい適切な生活習慣を心掛けるとともに、健康診断をきちんと受診し、血糖値を測定することが大切です。
■糖尿病を見逃していませんか?
▽あなたには、以下の項目がいくつあてはまりますか?
・血糖が高いといわれたことがある
・肥満気味である
・高血圧といわれて、薬をのんでいる
・糖尿病の親、兄弟・姉妹がいる
・40歳以上である
・外食が多い
・野菜をあまり食べない
・あまり運動をしない
・車に乗る機会が多い
・妊娠時に尿から糖がでたといわれた
血糖が高いといわれたことがある人、またはその他の項目がいくつかあてはまる人は、糖尿病の可能性が高いので、早急に検査を受け、合併症を起こさないように、適切な治療を受けましょう。
日本では、糖尿病の疑いが強い人は1000万人以上いるとされていますが、そのうち、ほとんど治療を受けたことがない人が約4割もいる状態です。(厚生労働省HPより)
糖尿病を放置すると、失明(糖尿病はその原因の第3位)や腎不全(糖尿病は透析導入原因の第1位)、下肢切断、脳卒中、心筋梗塞などを起こす可能性が高くなります。何かしら症状が出てから治療しても、すでに手遅れのことがあります。
■11月14日は「世界糖尿病デー」
世界糖尿病デーは、世界に拡がる糖尿病の脅威に対応するために、平成3年(1991年)にIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定し、平成18年(2006年)に国際連合総会で公式に認定されました。
11月14日は、大正10年(1921年)にインスリンを発見したカナダの医師フレデリック・バンティング博士の誕生日です。
世界糖尿病デーの糖尿病啓発キャンペーンには、青い丸をモチーフにした「ブルーサークル」がシンボルマークとして用いられます。
これは、国連や空を表す「ブルー」と、団結を表す「輪」をデザインしています。
毎年11月14日は、世界各国、全国各地で著名な建造物をブルーにライトアップして、糖尿病の予防や治療継続の重要性について広く周知する重要な機会となっています。
本市では、市役所本庁舎、庄原赤十字病院、西城市民病院の3カ所で毎年ブルーライトアップを実施しています。
問合せ:保健医療課健康推進係
【電話】0824-73-1255
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