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心温かい人々が暮らす町 無償の教科書に込められた思い

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徳島県美波町

新学期が始まり、小・中学校および義務教育学校でも、児童生徒たち全員に新しい教科書が配られる時期になりました。今では無償で配られている義務教育の教科書ですが、約60年ほど前まではお金を出して購入しなければならなかったことをご存じでしょうか?

■平等ではなかった義務教育
無償化以前の教科書は、毎年各家庭で用意する必用がありました。多くの家庭にとって、経済的負担は軽いものではなく、そのため各地で無償化を望む声が上がっていたものの、長い間実現には至っていませんでした。
3月になると、保護者たちは兄姉のおさがりや、知り合いに譲ってもらった古い教科書を用意し、ボロボロで使えないものや足りないものだけを買い揃えたりしていました。しかし、家庭の事情で教科書を準備することができずに学校でつらい思いをする子どもや、学校に通うことができない子どももいました。

■権利への目覚めと闘い
1961(昭和36)年、高知県の被差別部落で、義務教育の教科書を無償化するための運動が始まりました。日雇い賃金が300円程度の当時、教科書代は小学校で約700円、中学校で1,200円と高額で、安定した収入の仕事に就けない保護者たちにとっては大きな負担でした。
その地区では、部落差別をなくすための学習会が行われており、その中で保護者たちは「義務教育は、これを無償とする」とした憲法第26条を知りました。
そこで「教科書をタダにする会」が発足し、全ての子どもに平等な学びの権利を求めました。この運動は全国に広がり、国会でも大きな問題として取り上げられました。
そして1963(昭和38)年に「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」が制定され、翌年から段階的に国による無償化が始まりました。
1969(昭和44)年には、全ての小・中学校での無償化が実現しました。こうして毎年新しく配られるようになった教科書には、子どもの幸せを願った保護者たちの思いが込められています。

■誰もが暮らしやすい社会へ
この「教科書無償化運動」は、豊かな教育の保障をめざしてきた日本の歩みの中でも大きな意味を持つものです。社会の仕組みにおいて、憲法が守られていないことの問題に気付いた人々の努力が国を動かし、効果的に誰もがより暮らしやすい社会を実現することにつながりました。この運動は、教育を受けることができる喜びを改めて私たちに思い起こさせるとともに、個人が持つ人権についての理解を深め、共に支え合い行動することの大切さを教えてくれます。

■人権相談所開設
法務大臣の委嘱を受けた人権擁護委員による人権相談を行っています。いじめ、嫌がらせ、インターネット上での誹謗中傷などでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。相談は無料で、秘密は固く守られます。

町民一人ひとりが相手を思いやり、多様な価値観を認め合う社会をめざしましょう。
「心温かい人々が暮らす、にぎやかな過疎の町」美波町であり続けるために人権について考え守っていくことがまさに、“にぎやかそ”美波町まちづくりにつながります。このコーナーでは人権に対する思いを掲載していきます。

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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