■宮ノ浦遺跡第14次発掘調査現地説明会
日時:令和6年8月10日(土) 11:00~12:00 晴れ
場所:上島町弓削佐島2277番地2 宮ノ浦海岸
参加者:35名
8月10日(土)に、佐島にある宮ノ浦遺跡において、愛媛大学法文学部考古学研究室と町教育委員会による第14次発掘調査現地説明会が開催されました。
第14次となる今年度の調査では、宮ノ浦遺跡の東側に広がる浜堤(ひんてい)上に設定した調査区であるII区で、縄文時代の遺物包含層の広がりやその時代の地形を明らかにすることと、古墳時代から中世にかけての生産活動の実態を明らかにすることを目的に8月2日(金)から16日(金)まで発掘作業を行いました。調査では、縄文土器片や製塩土器片、古代の製塩活動にともなう遺構と考えられる鹹水溜(かんすいだ)め(濃い海水を入れる土坑)、軟弱な地盤を補強するために造成された古代末~中世初頭の粘土塊および礫群などを検出しました。
これまでの発掘調査では、縄文時代草創期後半(約1万3千年前)の隆帯文(りゅうたいもん)土器や刺突文(しとつもん)土器が確認されています。その時代は現代よりも寒冷であったため海面が低下し、宮ノ浦遺跡周辺の瀬戸内には海水が流入していませんでした。宮ノ浦遺跡は、縄文時代から現代に至るまでの瀬戸内海地方の環境の変動や生活様式の変化を考える上で、大変貴重な遺跡であることが分かってきました。
現地説明会では、参加者の皆さんは発掘調査成果の説明に熱心に耳を傾けられ、活発な議論が飛び交いました。会場では、発掘調査の成果に基づいて作成された縄文時代や古墳時代の宮ノ浦の風景画、各時代の出土遺物などが展示されました。また、発掘体験や粘土に縄文土器に見られるような文様をつける縄文施文体験では、子どもから大人まで多くの方々に考古学の楽しさを感じていただきました。
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