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佐田岬民俗ノート 229

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愛媛県伊方町

■スム技術
毎年新暦4月15日、この日は三崎の海士にとってとても大事な1日―海士漁(素潜り漁)のクチアケの日(解禁日)でした。この日から三崎の海士は潜って(潜ることを「スム」と言います)海中のアワビやサザエ、海藻などを採ることができるのです。この日、串の海士Aさんは4月9日(旧暦3月1日)にクチアケとなったヒジキを潜って採っていました。
海士さんのすごいところは何といっても、それまでの経験や研ぎ澄まされた感覚をもとに、自分の体一つで深くまで潜って漁をするところ。その深さなんと約5~20m程度、約1~2分間潜水することができます。
Aさんによれば、現在海士が使っているウェットスーツは自分の体に合わせて採寸し作ったもので、使用するにつれ保温機能もだんだん低下していくため、毎年2・3着購入し、毎年新調するそうです。
また、ハードな漁を繰り返す中で、夏にかけて海士さんの体の脂肪は落ち、体はどんどん絞られていきます(海士さんの体脂肪率はかなり低い!)。そのため、その時々の体に合わせてウェットスーツの浮力などを考えながら、腰につけるおもりの重さを調整します(取材時は13kgの重りを付けました)。シンプルな漁法の裏には海士一人一人のこだわりと連綿と受け継がれてきた技術が詰まっています。
この地で何度となく繰り返されてきた海士の夏が今年もやってきます。海士さんが見る海の中の世界は、どのような景色が広がっているのでしょうか。

協力:阿部勇二さん

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