男女共同参画社会の推進などによって、共働き世帯の増加や核家族化が進むなど、「子育て」を取り巻く環境は大きく変化してきました。この変化に伴って、近年では学校が終わってから親の帰りまで子どもが家庭でひとりで過ごす「子どもの孤立」がしばしば問題視されています。
そんな中、この問題の解決策として、「家庭」「学校」以外での「第三の居場所(サードプレイス)」での見守りという考え方が広まってきました。この取り組みは、子どもに安全な環境を提供するという点だけではなく、保護者である親の支援にもつながるものとして注目されています。
今月号では、子どものサードプレイスについて、令和5年9月に銀座商店街にオープンした「子ども第三の居場所あむ」の活動を中心に特集します。
■「あむ」は、子どもを守る地域の居場所
○子どもや子育て世帯に安心できる居場所をつくる
「子ども第三の居場所あむ」(以下、「あむ」)は、地域全ての子どもが、胸を張って「わたしはわたし」と言える安心できる居場所づくりを目指して、市内の銀座商店街にオープンした施設です。この「子ども第三の居場所」事業は、子どもや障害者の支援などを通じてより良い社会づくりを目指している公益財団法人日本財団(以下、日本財団)の事業のひとつで、南予地方では初めての開所となりました(県内3か所目。全国では181か所目)。
施設は長期休暇中の児童預かりなどを行っていたNPO法人やわたはま銀座バスケットが日本財団の助成を受けて商店街内の空き店舗を改修したうえで運営。共働き世帯など放課後にひとりになってしまう子どもに最長20時まで居場所を提供しながら、生活や学習のサポートを行っており、現在は小学校低学年を中心に、1日あたり10名程度を受け入れています。
○音楽・工作・お菓子作り…。多彩な教育プログラム
「あむ」を利用する子どもたちに人気なのは、平日に2階部分で行われる「教育プログラム」。地域の方や子どもたちの保護者が講師となり、各1~2時間程度行われています。
教育プログラムの内容は歌や楽器演奏などの音楽をはじめ、工作、お菓子作り、将棋などさまざま。日替わりの多彩な教室が、子どもたちの心を掴んでいるようです。また、「あむ」のスタッフも一緒に参加して、必要に応じて子どもたちの手助けをするなど、子どもの成長をスタッフ一丸となって後押ししています。
ほかにも、みんなが大好きな夕方のおやつタイムや、クリスマスコンサートなど時季に合わせたイベント、さらには日本財団の支援をもとに県外から講師を招いて行う珍しいプログラム提供などを実施。子どもたちが大人ともコミュニケーションを取りながら、仲良く体験活動ができるように配慮されています。
地域との緩やかな境界を保ちながら、子どもたちが自分のペースで社会との距離を縮められるように。これも「あむ」の運営で意識されていることのひとつです。
■まちの声、聞いてみました!
(1)利用者の声
「あむ」利用者 津田一幸さん、琴葉さん、笙太朗さん(保内町須川)
長期休み中の「休日子どもクラブ」から利用していますが、夫婦共働きなので、普段も遅くまで見守ってくれる「あむ」はとてもありがたいです。
「あむ」で出会った学校以外の友だちや教育プログラムのおかげで、娘もいつも楽しそうで安心しています。今後も「あむ」でいろいろな体験をさせてあげたいです。
(2)地域の声
銀座商店街振興組合 新和久さん(矢野町)
「あむ」がオープンしてから、楽しそうに出入りする子どもたちの姿をよく見るようになりました。子どもたちの声が響いてくると、こちらまで嬉しくなります。
商店街でも「あむ」と連携して賑わいづくりをしていきたいと思っています。子どもたちが親しみやすく、安心して過ごせる商店街にしていきたいですね。
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