■30周年記念事業(2)ローテンブルク市ミニチュア展
小さなおとぎ話の世界
中世の町並みの佇まいを今も残すローテンブルク市。その美しさに魅了され、旧市街地のミニチュア模型を制作している相原忠夫(ただお)さんの作品展が8月11~18日の間、六日市自治会館で開かれました。人々を惹きつける同市の魅力について相原さんに聞きました。
時計塔が存在感を放つ市庁舎、赤い屋根の商店が並ぶ通りなど――。松山市在住の相原忠夫さんは美しい市街地を再現しようと、35分の1サイズのミニチュア模型を作り続けています。これまで計194軒を制作。1軒あたり2、3カ月かけて、屋根瓦や店の商品、軒先に並ぶ花瓶なども細やかに再現しています。
42歳の時にローテンブルク市を初訪問した相原さん。「中世の町並みの美しさに感動。帰ってすぐ模型を作ると決めた」と話します。35年かけて完成した「小さなローテンブルク」に、訪れた人からは思わず「わあっ」と声が上がります。会場ではドイツのくるみ割り人形などの民芸品や、市内で撮りためた写真なども展示。参加者は好きな建物や眺めを探したり、写真と模型を見比べたりして、絵本の中のような世界を堪能しました。
展示会には8日間で約500人が来場。「屋根の形や壁の模様が日本とは違って不思議。文化の違いを感じた」という子どもや、「子どもをぜひ現地に連れて行ってあげたい」という親子連れなど、多くの声が寄せられました。
◇ローテンブルクの多くの魅力を内子の皆さんに知ってほしい
模型制作者
相原忠夫(ただお)さん[松山市]
ローテンブルク市を初めて訪れたとき、中世の面影を残す町並みの美しさに魅せられました。専門知識は何もない素人でしたが、すぐに趣味として模型制作を始めました。これまで何度も同市を訪れて、高台から写真を撮ったり、歩幅で建物の寸法を取ったり、配置をメモしたりして資料を集め、設計図を作っていきました。まずは350分の1のサイズで配置などを確認してから、主にバルサ材などを使って建物を制作します。初めて挑戦したのは旧市長の館。最初は上手にできなくて、今ある模型は2代目です。作るのが大変だった市庁舎と並んで、特に思い入れの強い作品ですね。細かいところもなるべく正確に再現したいので、資料が増えたら手直しをします。こつこつ作業をするのが好きで、何よりこのまちが好きだから続いているんでしょう。特に、模型を見た子どもたちが楽しんでくれるのは何よりの喜びです。物語の中のような商店が並ぶ通り、まちづくりを支える技術者の手仕事など、それぞれの感じ方で魅力を見つけてみてください。内子の皆さんにこのまちを知ってもらい、好きになってもらえたらうれしいです。
私は古いものを大切にするローテンブルク市の落ち着いた雰囲気がお気に入りです。もっと活発に観光地化されていたら、今のような趣ではなかったかもしれません。内子も似ていると感じていて、静かでいいまちですね。内子町はアジアでは唯一、ローテンブルク市と姉妹都市盟約を結んでいます。現地を訪れると市民が内子のことを紹介してくれるなど、住民レベルでのつながりがあることが分かります。これも地道な交流活動の成果であり、皆さんをうらやましく思います。今後の内子町の国際交流活動の発展を、私も見守りたいと思います。
◇Interview
人を惹きつける力を感じるまち
武智瑞穂(みずほ)さん[内子19第1]
ローテンブルク市を訪れたことがある夫と展示を見ました。建物や店について熱く解説してくれて「よく覚えているなあ」と感心。それだけ魅力的な場所なんだと伝わってきます。私は傍らで展示されていた看板の写真にも心惹かれました。町並みに溶け込んでいて一つ一つが繊細。日本とは全然違うものでした。海外はハードルが高いと感じていた私ですが、いつか現地を訪れ、雰囲気を味わってみたくなりました。
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