臨床工学科技師長 黒川 大樹
医療機器のスペシャリストとして、チーム医療に貢献しています
■~臨床工学技士という職種をご存じでしょうか?~
◇臨床工学技士について
[臨床工学技士]は病院などで働く医療技術者です。
医師以外の看護師や各種の医療技術者はメディカルスタッフと呼ばれています。そのなかで臨床工学技士は、医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格で現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。人の生命を維持するための機能である呼吸、代謝、循環等を代行する「生命維持管理装置」の保守、点検、管理、そして医師の指示のもとこれらの医療機器の操作を行っています。
現在、高度な医療技術の進歩に伴い、医療機器の高度化・複雑化・多様化する技術に臨床現場で対応する「いのちのエンジニア」として病院内でチーム医療に貢献しています。
◇臨床工学科(臨床工学技士)の業務内容
現在、当院には18人の臨床工学技士がMEセンター(医療機器管理室)・血液浄化室(透析室)・ICU(集中治療室)・手術室で主に勤務しており、患者さんの治療や検査に関わる「臨床技術提供業務」と医療機器(生命維持管理装置を含む)を安全に使用できるための「医療機器保守管理業務」と大きく分けてふたつの業務を行っています。
◇臨床技術提供業務について
心臓血管外科手術時の人工心肺装置(心臓手術の際に心臓をとめて行う必要がある場合に、心臓と肺のかわりとなる装置)の操作、ペースメーカー・除細動器の植込み型手術におけるプログラム設定・各種計測・作動チェック、ロボット支援下手術[daVinch(ダ・ヴィンチ)]のサポート、手術室内の医療機器について、手術前後に点検等の管理を行っています。
血液浄化療法のひとつである血液透析では、透析装置と周辺機器をオンライン化し安全と効率化を図っています。
潰瘍性大腸炎や難治性腹水症などに対する特殊な血液浄化も随時行っています。
ICUでは補助循環装置(ECMO(エクモ)、IMPELLA(インペラ)、大動脈バルーンポンプなど)や持続血液浄化装置の管理・操作を行い、血管造影室では不整脈治療のカテーテルアブレーション手術における各種機器操作を行います。
◇医療機器保守管理業務について
当院の生命維持管理装置には、人工呼吸器・人工心肺装置・心臓ペースメーカー・補助循環装置・血液浄化装置・除細動器・保育器などがあります。その他にも輸液ポンプ・シリンジポンプ・生体情報モニタなど約1万台の医療機器があり、これらすべてを専任のスタッフが一括管理し機器の運用の効率化を図っています。また、故障への対応や修理、各部署への使用説明などを行うことで医療機器の安全性・信頼性を維持しています。
◇その他
医療機器が実際に活用されている医療現場のニーズと企業の技術シーズのマッチングによる新たな医療機器の開発・創出・助言等医工連携し共同開発も行っています。
◇おわりに
私たち臨床工学技士は、院内すべての医療機器を安全に安心して使用することができるように適切な医療機器管理に努めています。
病院ホームページ、部門のページは本紙またはPDF版に掲載の二次元コードをご確認ください。
問合先:市民病院
【電話】76-4131
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