■渋沢好きの日本人 ID:34636
7月3日より発行されている新紙幣を最近よく見かけるようになりました。ご存じ、新1万円札の顔は、「近代日本経済の父」渋沢栄一です。
書店では、NHK大河ドラマ以来の渋沢特集コーナーが設けられています。日本人、特に会社勤めの人は渋沢栄一が大好きで、故にさまざまな関連本が出版されています。
どこの本屋さんでも一押しは、『現代語訳 論語と算盤(そろばん)』(守屋淳/訳 ちくま新書/出版)です。注目すべきはタイトルで、論語「と」算盤であって、論語「か」算盤ではありません。
私たちはこの本を読むと、どこかで見たような、聞いたような感覚を抱きます。渋沢は明治の黎明(れいめい)期に約500社の会社、500以上の社会事業に関わり、結果、歴史ある名だたる企業が、彼の思想を自社の社訓などに取り入れました。
論語(=道徳)と算盤(=金もうけ)を両立する「利他の精神」は日本企業に広く浸透し、その企業理念に「社会やお客様と共に」といった文言を採用しています。世界に冠たる日本株式会社の強さは、渋沢経営哲学の延長線上にあると言え、昨今、世間を騒がすガバナンスやらコンプライアンスの問題も、突き詰めれば、彼が主張する「道義の伴った利益の追求」の成否次第となります。これだけの偉業を成し遂げるストレスの中、昭和初頭91歳の長寿であったことも驚きです。
最後に、渋沢の人生訓「夢七訓(ゆめしちくん)」を紹介します。「夢なき者は理想なし 理想なき者は信念なし 信念なき者は計画なし 計画なき者は実行なし 実行なき者は成果なし 成果なき者は幸福なし ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず」。
幸福を得たければ、まず夢を持つべし。深いですね。新札をまずは拝んでから、使いたいと思います。
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