尾北歯科医師会岩倉地区会 浜島 悟
突然ですが、みなさんに質問です。ご自分が「歯周病」だと思いますか?
歯周病とは、歯の表面の細菌の塊(プラーク)の中の歯周病菌が歯肉に入り込み、慢性的な炎症を引き起こして、歯を支える骨を溶かす病気です。30代~60代の人に多く、30代以上では、3人に2人が歯周病の症状があり、年代が上がるに従って、症状が進行した人の割合が増加し、歯を喪失していく70代ごろまで続きます。また、歯周病は、歯を失う原因になるだけでなく、全身のいろんな病気と関連することがわかってきています。
糖尿病の悪化、心筋梗塞、呼吸器疾患などのリスクを高めます。炎症物質などが血流に乗って全身を巡り、体の各所に影響すると考えられています。最近は歯周病と認知症の関係も注目されています。
九州大によるマウスを使った研究で、認知症の3分の2を占めるアルツハイマー病を、歯周病が引き起こしたり、進行を早めたりする可能性が示されました。
マウスに、歯周病菌を3週間投与したところ、アルツハイマー病の原因物質とされるタンパク質「アミロイドβ(Aβ)」が、歯周病菌を投与しなかったマウスと比べて脳内に10倍蓄積し、記憶力の低下が起きました。
まだマウスの実験なので、今後の研究が待たれますが、Aβは、認知症の症状が出る20年ほど前から脳内に蓄積し始めるとされます。歯周病を治療することは、認知症の発症予防に役立つでしょう。
また、2021年に発表された海外の研究で、歯を1本失うごとに認知症になるリスクが1.1%高まり、20本失うと約1.2倍認知症になりやすいという結果も発表されています。
■定期的に歯医者さんに行こう!
定期的に歯科に通うことをお勧めします。歯周病予防のために歯のお掃除をしましょう。そして、全身の健康維持のために、歯磨きが非常に重要です。歯周病の説明や歯磨きの指導が丁寧なかかりつけを探してください。
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