■災害医療について(1)
当院は、東三河北部医療圏で唯一の災害拠点病院に指定されています。県内36医療機関ある災害拠点病院は、地域の災害医療の中核病院で、災害時に被災患者さんの受入れ・治療、救護班の派遣などを行います。
▽災害医療とは
災害により対応する側の医療能力を上回るほどの多数の医療対象者が発生した際に行われる、災害時の急性期・初期医療のことを指します。医療の需要は超急性期、急性期、亜急性期・慢性期、平穏期と時間的経過を辿り(図1)、災害の種類によって医療の需要も異なります。
災害には自然災害と人為災害(※1)、局地災害と広域災害などのいくつかの分類があります。列車事故や多重交通事故などの人為災害は局地災害になりやすく、水害や地震などの自然災害や戦争などは広域災害になりやすいです。
※1 事故やテロ、戦争などの人為的要因から生じる災害。火災や車両・航空機等の事故のほか、大勢が集まる場でのマスギャザリング災害、CBRNE(化学、生物、放射性物質、核、爆発物)災害なども含まれる。
▽通常の救急医療と災害医療の違いとその目的
通常の救急医療は、患者さんに対して十分な医療を供給できる環境下で行われる医療であり、多くの医療者や医療機器・薬剤などの医療資源を投入することが可能です。
一方で、災害医療は、けが人の大量発生など、医療の需要が急激に増加します。そして災害が広範囲になればなるほど、医療者の人的被害や医療設備の故障、電気・水道・ガスなどのライフラインの途絶や物流麻痺による物資の不足などにより、その地域で医療を供給する能力が著しく低下します。供給能力の低下した医療機関に患者が殺到するといった事態があちこちで起きると、需給のアンバランスはさらに拡大し、失われる人命も多くなってしまいます(図2)。そのため、アンバランスを是正し、できるだけ多くの人々にできる限りの医療を提供し、防ぎえた災害死(※2)をなくすことが災害医療の目的です。
※2 医療が適切に介入すれば避けられた可能性のある災害死のこと。
※詳しくは広報紙をご覧ください。
次号も引き続き災害医療について、当院のDMAT(災害派遣医療チーム)や病院での災害対応体制と情報システムなどについて紹介していきます。
監修:市民病院DMAT(災害派遣医療チーム)
ID:751376216(ほのか診察室)
問合せ:市民病院(代表)
【電話】22-2171
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