■せん妄(もう)とは
監修:市民病院 認知症サポート委員会
高齢の方が、自宅にいる時や入院中、ショートステイ先など、突然つじつまが合わないことを言ったり、自分の居場所が分からなかったりといった症状が現れて慌てたことはありませんか。突然こうした症状に見舞われた場合、認知症ではなくせん妄(もう)の可能性があります。
◇せん妄とは
せん妄とは、病気や環境の変化など、身体に何らかの負担がかかることで一時的に脳の調子が悪くなり、意識が混乱した状態を示します。また、入院中の高齢者の中で発症されている方が多く、特に認知症の高齢者は、認知症のない人と比べると発症リスクが高くなると言われています。
◇せん妄の症状と特徴
・話しかけても反応が鈍い。
・話のつじつまが合わない。
・場所や時間の感覚が鈍い。
・落ち着きがない。
・幻覚、妄想がある。
・怒りっぽくなり興奮する。
・夜に眠れず歩き回る。
これらは、急に発症し、夕方から夜に症状が出ることが多いのが特徴です。
◇せん妄のケア
負担となった身体の問題を取り除くことが治療の基本です。せん妄対策として次のようなことが効果的と考えます。
(1)日課や趣味などの取り入れ
・なじみのある物(枕やぬいぐるみなど)を手元に置く。
・時計やカレンダーを見える所に置き、日付や時間を会話の中に取り入れる。
・家族の写真を見えるところに置き、会話の中に取り入れる。
(2)生活リズムの整備
・昼間は日光を取り入れて明るい環境にして、夜は静かで暗過ぎないように調整する。
・昼間に適度な運動や趣味などを行ってもらい、覚醒を促す。
(3)安全対策
・刃物(はさみ、爪切り)やライターなどを周りに置かない。
・転倒や転落予防のため、ベッドを低くする。また、ベッド柵の調整を行い、ベッドサイドの環境を整える。
・センサーの設置などを考慮する。
(4)薬の処方
・せん妄予防や治療のため、安定剤の処方を医師の指示のもと、検討する。
・副作用に注意して、最小限で短時間の使用にする。
◇ご家族の方へ
家族がそばにいるだけで安心して落ち着くことがあるため、いつもどおり落ち着いた言葉がけをお願いします。
つじつまが合わない話があっても、無理に正す必要はありません。せん妄の時のことは覚えていないことも多いため、後からその時の様子を話題にせず、辛かった気持ちを周りの方と共有することが大切です。
(1)驚かせない
(2)急がせない
(3)自尊心を傷つけない
(4)否定しない
問合せ:市民病院(代表)
【電話】22-2171
ID:751376216(ほのか診察室)
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