腰の痛みの原因には様々なものがありますが、その原因の一つとして圧迫骨折があります。ご高齢の方に特に多い病気で、早めに対処せず、気付かずに放置すると様々な支障をきたす可能性があります。
今回は、圧迫骨折について知識を深めましょう。
津島市民病院 脳神経外科副部長 青山正寛(あおやままさひろ)
■-圧迫骨折とは-
加齢により骨がスカスカになり(骨粗しょう症といいます)、せぼねの椎体という骨が骨折してしまい、押しつぶされるように変形してしまうものです。
■-圧迫骨折のきっかけ-
転倒による尻もちなどはもちろんですが、くしゃみや重いものを不用意に持ち上げたり、体をひねったり、ちょっとしたきっかけで骨折することもあります。中にはきっかけが思い当たらない方もみえます。
■-圧迫骨折の症状-
多くの方は背中や腰に激しい痛みを感じます。痛みは安静にしていることにより徐々に治っていくこともありますが、骨折によるせぼねの変形は残存してしまいます。
■-圧迫骨折が及ぼす影響-
圧迫骨折をそのまま放置していると、骨のつぶれ方がひどくなり背中が丸くなります。背中が丸くなると、胸が圧迫されるため、肺活量が低下し、からだ全体の機能が低下してしまいます。また、胃も圧迫されてしまい食欲も低下し、痛みが続いてよく眠れない日が続くと、気分がふさぎがちになり、日常生活の活動性が低下し、さらに骨がもろくなり、太ももや腕なども含めて、他の骨折が起こりやすくなってしまいます。こうした悪循環により、最終的には寝たきりの生活になる危険性が高くなってしまいます。
■-圧迫骨折の治療-
痛み止めを内服し、骨粗しょう症の治療薬を使いながら、コルセットを装着して安静にする、という保存的治療をまずは行います。しばらくこのような治療をしても痛みが残ってしまったり、骨の変形が進行してしまったりするような場合は、手術が必要となることがあります。
■-圧迫骨折の手術-
あまりにも変形が進んでしまった場合は、金属のネジや棒でせぼねを固定するというような、非常に大掛かりな手術が必要となってしまいます。
一方、変形が軽度でとどまっている場合には、経皮的椎体形成術という20分程度で終了する非常に負担が少ない手術で治療可能です。変形した骨にセメントを充填することにより、痛みをとり、それ以上の椎体の変形を予防することが可能です。変形が進む前に、このような負担の少ない手術で治療することが非常に大切です。
背中の左右の5mm程度の小さな傷から、骨折した椎体に針を入れます((1))。その針から小さな風船のついた器具を挿入し、その風船を膨らませ、つぶれた骨を持ち上げてできるだけつぶれる前の形に戻します((2))。最後に、風船で膨らませた空間を満たすように骨セメントを充填します((3)、(4))。
圧迫骨折は放置すると変形が悪化する可能性がある病気です。負担の少ない治療で治すためには、より早期に治療を行う必要があります。レントゲンやMRIといった画像検査ですぐに診断可能ですので、腰や背中の痛みでお困りの方は、早めにご相談ください。さらに詳しい情報は津島市民病院のホームページにも記載しています。ご興味がある方は是非一度、ご覧ください。
※詳細は本紙P.29をご覧ください。
問合:市民病院管理課管理G
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