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とよあけ 花マルシェ コラム

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愛知県豊明市

立冬、小雪、そして間もなく大雪とだんだん年の瀬が近づいております。戸外であたりを見回すと、目に入る花の種類も限られたものになっていて、外にお花を見に出かける人にはちょっと寂しい季節ですね。「そうね~。特に花木はサザンカくらいしか見当たらないものね~!」まさに、年末に咲く花木の何と少ないことでしょうか。では今回はハウス鉢花の中から一つお話ししようかと思いましたが、あった、あった、ありました。これから初春までの間咲き続ける数少ない花木の中から、今回はジャノメエリカを紹介させていただきます。
ジャノメエリカはツツジ科エリカ属に分類される低木で、原産地は南アフリカです。園芸植物大事典(1994/小学館)エリカ属の項には、1920年頃誤ってErica melantheraの学名(エリカメランセラ、正しい学名はErica canaliculata)で導入されたという内容の記載があることから、日本への到来は大正あたりだと考えられます。「へぇ、日本における歴史は100年ちょっとってとこね!」そうですね、長い歴史とはいえないまでも、日本の風土において100年以上の間、戸外で栽培されているわけで、もう日本の文化に溶け込んでいる種といってもよいかもしれませんね。エリカ属の種は比較的寒さ、または暑さに弱いものが多いのですが、ジャノメエリカは関東以西の冬の寒さと夏の暑さに耐えることができたので、その所どころで見ることができるんですね。
ジャノメエリカの花の特徴は、その名の通り蛇の目玉のような花の姿です。「うわっ!それって気持ち悪くない?」ハハ、ちょっと爬虫類(はちゅうるい)が苦手な人は慣れるのに時間がかかるかもしれませんね。花をよく見ると、ベル型の花弁の中から長い雌蕊(めしべ)と雄蕊(おしべ)が突き出ており、8本ほどある雄蕊の先の葯は真っ黒で、雌蕊を囲むように黒い半球状に引っ付いて、正面から見るとまるで瞳のように見えます。「僕にはカエルの卵に見えるよ。」「どっちにしろ、私、ムリ!」いや~、実際に見るととてもかわいい花なので、安心してください。
紅葉シーズンが終わり、閑散とした冬の公園にあって、ジャノメエリカの咲く場所はほんのり暖かみを感じさせてくれます。寒い中、お出かけの時には、どうぞこの花のことも思い出してみてくださいね!

執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田晶彦

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