◆コムラサキ ~紫色は構造色~
チョウの翅(はね)には鱗粉(りんぷん)という小さな粉がついています。この鱗粉は、色素で粉そのものに色がついている場合と、構造色と呼ばれるもので発色している場合があります。構造色とは翅にある微細構造の凹凸などで、ある一定の光の色となる波長を反射したり、屈折したり、干渉、分散などの物理的現象によって出てくる色のことをいいます。CDやDVDなどのきらめく色は、この構造色によるものです。
コムラサキには過去にカクシムラサキ(隠し紫)の別名がありました。見る角度で紫色が見られたり、見られなかったりする現象を表した、非常によい着目点の名前と思います。現在の名前はよく似た色模様でより大きなオオムラサキというチョウと比較して小さなことからきています。
コムラサキには二つの型があり、よく見られるのは褐色型で、稀に黒色型も見られます。どちらの型も構造色が楽しめ、褐色型のだいだい色の点模様が、黒色型では白色になっているのが特徴です。
○勅使池の周囲に生えるヤナギ類でよく見られるコムラサキ
※本紙P.34をご覧ください。
豊明市史(自然)執筆員 吉鶴 靖則
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