■「ポリファーマシー」について知っていますか?
相川診療所 薬剤部 薬剤師 小栁 邦弘
皆さんは「ポリファーマシー」という言葉はご存じでしょうか?一般の方にはまだ馴染みのない言葉かも知れませんが、近年日本の医療において話題となっています。「ポリ」とは「多くの」、「ファーマシー」とは「薬」のことで、「多薬剤服用」という意味です。明確な定義はありませんが、必要とされている量以上の薬が処方されている状態を指します。
なぜポリファーマシーは問題となっているのでしょうか?薬には副作用がありますからたくさんの薬を服用すればするほど副作用は増えますし、薬同士の相互作用による有害事象も起こりやすくなります。副作用や相互作用に対応するために新しい薬が追加され、さらに薬が増えるといった悪循環に陥ってしまう可能性があります。
また、多くの薬剤を服用すると服薬コンプライアンスの低下を引き起こします。「服薬コンプライアンス」とは「用法・用量通りに正しく服用すること」を指し、薬の数や服用回数が多いほど服用する手間が増えてしまうため、服薬コンプライアンスが低下しやすくなります。
きちんと薬を服用できていなければ病状が進行し、医師は薬の効が不十分と考え、追加で薬を処方してしまう可能性があります。このことにより更なるポリファーマシーを引き起こし、残薬も増えるといった他の問題にもつながってしまいます。
このようなポリファーマシーを防ぐためにはどうしたら良いでしょうか?まずはお薬手帳を活用しましょう。お薬手帳は薬の情報を一元的に管理することができ、医師や薬剤師に見せることで薬が重複して処方されるのを避けることができます。その際、複数の薬局を利用せず「かかりつけ薬局」を持ちましょう。どれくらい内服できているか、残薬はないか、かかりつけ薬局の薬剤師と一緒に確認していくことが大切です。
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