フレイルは社会全体の病です。老若男女全ての市民の健康と幸せ無くして防げません。このコーナーでは、健康に役立つ情報を幅広くお届けします。
■子宮頸がんを予防しよう
JA新潟厚生連小千谷総合病院
産婦人科医師 安田雅弘さん
子宮頸がんは子宮の入口部分(頸部)にできるがんで、日本では毎年約1万人がかかり、約2900人が亡くなっています。初期の段階では出血などの症状がなく、進行した状態で見つかると子宮摘出が必要となります。近年は若年層で増加傾向にあるため、子宮頸がんは若い女性の妊娠・出産の可能性や尊い命を奪う恐ろしいがんであると言えます。しかし、この子宮頸がんは予防できる病気なのです。
◆子宮頸がんの原因
子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。HPVには200種類以上の遺伝子型がありますが、がんの発症に関係するのは15種類ほどで、高リスクHPVと呼ばれます。HPVの子宮頸部への感染は性的接触によるものです。HPVはごくありふれたウイルスなので、成人女性の約80%が感染していると推定されています。
◆予防接種と子宮頸がん検診で予防と早期発見を
高リスクHPVの感染を予防するのがHPVワクチンです。すでに感染したHPVには効果がないので感染前の接種が重要です。ワクチンの接種により子宮頸がんや前がん病変の大幅な減少効果が認められており、国内では2価、4価、9価の3種類のワクチンが承認されています。以前から使われている2価、4価ワクチンは2種類の高リスクHPVに対するワクチンです。今年の4月から定期接種の対象に加わった9価ワクチンは、7種類の高リスクHPVに対応しており、予防効果がより高いと考えられます。
ワクチン接種による重大な副反応は極めてまれです。数年前に話題となった「接種後の痛み」「運動障害」「不随意運動」などの症状は、ワクチンを接種していない同世代の女性にも見られると報告されており、ワクチン接種との因果関係は証明されていません。WHO(世界保健機関)をはじめ、世界中でHPVワクチンは安全であると認められています。
HPVワクチンを接種したからと言って子宮頸がん検診が不要となるわけではありません。ワクチンの予防効果は高いものの、100%ではないからです。20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受診しましょう。
問合せ:健康・子育て応援課 健康増進係
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