■最近話題の慢性腎臓病の傾向と対策
坂町病院 内科
五十嵐 仁
慢性腎臓病(以下CKDと略します)という言葉が登場して20年以上経ちました。最近では女優の檀れいさんを起用した啓蒙用コマーシャルもテレビなどで流されていますが、ご自身がCKDかどうか気にされたことはありますか。全国で2000万人余の方が該当すると言われているCKDとはいったいどのようなものでしたでしょうか。
まず、CKDは症状では分かりません。高血圧症は血圧を測らないと分からない、糖尿病は血糖を測らないと分からないのと同じようにCKDは血液と尿検査を行わなければ分かりません。血液ではクレアチニンという項目を測定しそこから推測される腎機能を算出し、60点以下に下がっていればCKDを疑います。また腎機能が低下していなくても、尿検査で蛋白尿や血尿があればCKDを疑います。医療機関を受診している人はそこで確認してもらえますが、受診していない人は検診を受ければ調べてもらえます。是非、特定健診などの健診を毎年受けてください。
CKDが疑われた人は医療機関の受診を勧められます。尿蛋白(+)が続いているときや腎機能が45点以下に低下しているときは、村上総合病院や当院の専門医に受診するように勧められます。そこで何をされるかというと、CTや蓄尿検査などが行われた上で、本当に腎臓が悪いのか(腎機能が低下しているのか)今後もどんどん腎臓が悪くなりそうなのかが見極められます。今後も悪化が心配される方については、そのまま専門医の外来で経過や投薬が行われることが多いですが、実はほとんどの方はさほど深刻ではなく経過観察や診療所の先生に経過を見て頂くのが実情です。
このような話を聞いて頂くとほとんどの方は安心されると思いますが、大事なことはCKDを適切に管理することです。CKDがあると、脳卒中や心臓病が悪くなりやすくなる、認知症や癌になりやすくなる、寿命も短くなるなどと言われています。腎機能低下が進めば進むほどその危険が高まると言われています。腎機能の悪化を抑えるために重要な事は生活習慣病領域(血圧・血糖・脂質など)を落ち着いた状態にしておく事です。これらの病気をきちんと管理されている方はCKDが進みにくいということもわかっています。
腎機能は年齢を重ねるだけで低下していく事が知られています。これはどうすることもできないのですがそれ以外の要因(病気や体重の管理)は何とか出来ます。歳を重ねても元気で過ごせるように健康管理に努めてください。
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