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健康講座(229)

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新潟県関川村

■脳卒中の話 その二
坂町病院 院長 牧野邦比古

前回のこの欄で述べましたが、卒然として邪風に中る、それが脳卒中でした。それでは脳卒中とはどういった疾患なのでしょうか。脳卒中は一つの疾患ではなく、いくつかの疾患の総称です。脳卒中には脳梗塞、脳出血そしてくも膜下出血が含まれます。
脳卒中はどれほどの発症者がいるのでしょうか。少し古い統計ですが、2010年で、人口10万人当たり(いろいろな疾患を考えるときにこの人数当たりの統計が使用されます)で166人です。当地域の脳卒中患者さんのほとんどは県立新発田病院を受診されます。新発田病院の医療圏が20万人くらいとすると、年間330人ほどになりますが、同院に勤務していた私の持ち合わせている資料では年間450人ぐらいでしたので、先ほどの統計より1倍半ほどになります。おそらく、脳卒中に関しては、想定している医療圏より広範囲なのでしょう。なお、脳卒中発症者がどれほどかというと、近い時期の2012年のがんの罹患率が人口10万対366人ほどでしたので、その半分ほどであったことが分かります。
では脳卒中の内訳はと言うと、脳卒中発症者が人口10万人対166人でしたが、脳梗塞が107人、脳出血が42人、くも膜下出血が15人でした。ただし、ざっくりとした割合は、脳梗塞が7割、脳出血が2割、くも膜下出血が1割とされています。
脳卒中で亡くなる方はどれほどなのでしょうか。2022年の死因別にみた死亡率では、人口10万対88人で4位でした。ちなみに、1位ががん(悪性新生物)で316人、2位が心疾患(高血圧性を除く)で191人、3位が老衰で147人、5位が肺炎で61人でした。
脳卒中の死亡率を世界と比較すると、一九六〇年代は欧米の二倍ほどでした。しかし、近年はほぼ同じレベルまで低下しました。これは、我が国の生活習慣病の治療を含めた医療の進歩だけでなく、行政などからの脳卒中を克服するためのたゆまぬ働きかけと、それを受け入れてきた日本人の努力の賜物なのです。このことをとっても生活習慣病の治療はとても大事なことであるかがわかると思います。
脳卒中発症後の職場復帰率は2018年版厚生労働白書によると50〜60%とされています。ちなみに心疾患は70〜80%、がんでは65%とのことです。
今回は、統計的なお話でした。次回以降は脳卒中に含まれる個々の疾患についてご説明していきたいと思います。
月刊臨床神経科学38巻5を参照しました。

*このコーナーへのお問い合わせは、県立坂町病院へ。

問合せ:【電話】62-3111

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