■私たちも、箱根駅伝を支える
箱根駅伝は、多くの人によって支えられ、100回大会を迎えました。
その中で、箱根駅伝の運営に関わる関東学生陸上競技連盟(関東学連)の幹事長と、共催して箱根駅伝を盛り上げる読売新聞東京本社の編集委員にお話を伺いました。
◆関東学生陸上競技連盟 幹事長
法政大学経営学部4年
月岡葵梨香さんに聞く!
幼い頃から大好きな箱根駅伝に関われることが嬉しい。
メンバー全員で大会を支えます。
◇箱根駅伝に関われるのは学生時代しかない!
関東学生陸上競技連盟(関東学連)は、大正8(1919)年に創立された国内最古の連盟組織です。学生競技者としての自覚と誇りを持ち、箱根駅伝をはじめとするさまざまな競技大会の運営や審判講習会などを行っています。現在は大学1年~4年生の41名で運営しています。
私は幼い頃から箱根駅伝が好きで、毎年、家族でテレビ観戦していました。高校生の頃、主催が関東学連だと知り、私も運営に携わりたいと考え、自ら応募しました。「大学生のうちにしかできない」と思ったからです。
小学生から高校生まではバスケットボール一筋でしたが、大学では陸上競技部に所属し、1年生から関東学連の活動に取り組んできました。
当連盟は、5月の関東インカレ(関東学生陸上競技対校選手権大会)や10月の箱根駅伝予選会などさまざまな大会を主催しています。なかでも箱根駅伝は100回を迎えることもあり、さまざまな議論をし、参加資格の変更など多くのことを提案しました。安全な開催のために、警視庁や神奈川県警察、中継所周辺の方々などと調整することも大事な業務です。
当日はメンバーそれぞれがスタート地点やフィニッシュ地点、各中継所などで役割があり、全員で協力して臨みます。私の役割は大会本部車に乗って、レース全体を統括することです。
◇100回大会をみんなで楽しみましょう!
関東インカレから声出し応援ができるようになり、ようやく通常の大会に戻ったと実感しています。箱根駅伝でも、沿道での声出しや各大学の応援などができるようになります。直前まで精一杯準備をして、当日を迎えたいと思っています。
皆さんが普段通勤や通学で通っている道を選手が走るかもしれません。そういう楽しみ方も箱根駅伝の魅力の一つです。100回大会を千代田区の皆さんと楽しめたら嬉しいです。
◆読売新聞東京本社
編集委員
近藤雄二さんに聞く!
応援が選手の力になります。
全10区間の熱い真剣勝負を一緒に見守りましょう!
◇大学時代、3度の箱根駅伝を経験
早大時代、箱根駅伝に3度、6区、8区、8区に出場しました。一番の思い出は、最初の6区です。実は当時は5区の補欠だったので6区の先輩の付き添いに回ったのですが、復路当日の朝にその先輩が発熱し、私に出番が回ってきたのです。監督は「5区の逆だから大丈夫」というのですが、私は下りが苦手で、案の定、区間最下位に終わってしまいました。夢中だったのでほとんど覚えていないのですが、ブレーキをかける走りをしたため、1週間くらいは腿(もも)の前側がパンパンに張ってしまい、階段もまともに下りられない状況になって、難儀した思い出があります。
今も箱根では、風邪や故障などのため急きょ選手変更ということがありますが、その度にあの6区を思い出します。
◇2区と5区には特に注目してほしい
先日、弊紙の企画で箱根駅伝の10区を走る企画に挑みました。第100回大会という節目に箱根駅伝のコースの魅力を伝えたいと考えたからです。走る度、テレビで見ただけではわからない起伏や坂の傾斜、風景、風などを感じることができました。
この経験から、全てのコースに注目して欲しいのですが、選ぶなら、やはり各校のエースが集う2区。全区間最長(9区と同じ)の23.1キロで、14キロ過ぎには権太坂、20キロからは「戸塚の壁」とも呼ばれる上り坂がある平地区間の最難関コースです。エースたちが高速で激突する姿は、迫力満点。
そして、箱根駅伝の象徴といえる山登りの5区。最初の3キロは緩やかな上りですが、そこから15キロ付近までは箱根の急峻で上りのスペシャリストたちが健脚を競います。近年、ここで快走するランナーが「山の神」と呼ばれますが爆発的な走りっぷりを見せるランナーが突如現れるのも5区の魅力です。
中継所としては、最後の中継所となる鶴見中継所ですね。駅伝は襷(たすき)を最後までつなぐことが最低限の目標ですが、トップから大きく離されすぎると繰り上げスタートの対象となってしまいます。全チームがこの鶴見中継所を、繰り上げなく、無事に襷をつないでくれることを祈っています。
◇壮大なコースを絆の襷で結ぶ
箱根駅伝の素晴らしさは、まずはその壮大さにあるでしょう。東京から箱根の山を越え、再び東京に戻る往復10区間217.1キロというのは、現存する駅伝としては最大です。しかも、日本長距離界の父とも呼ばれる日本初のオリンピアンの1人、金栗四三(かなくりしそう)さんにより、世界を目指すという大きな思いから作られたのが箱根駅伝です。その思いを各大学の選手、指導者たちが脈々と受け継ぎ、ついに100回の歴史を積み上げてきた、そんな歴史的な壮大さも魅力の一つだと思います。
また、箱根駅伝は学生駅伝です。学生が仲間と切磋琢磨し、年に1度の大舞台で、絆の象徴となる一本の襷をつなぐために全力を出し尽くす。そんな姿が、正月のお茶の間に感動を与えていることも魅力の一つなのかと思います。
OBとして、この歴史と魅力ある駅伝が継続して欲しい。そして、創設の理念「箱根から世界へ」を実現するべく世界に通じる選手を数多く輩出し、ぜひともオリンピックでメダルを獲得する選手を見たいと思っています。
箱根駅伝は、何より沿道の皆さんのご理解とサポートによって成り立っています。スタート、ゴールという重要なパートのある千代田区の皆様には、往路はお正月の早朝、復路はお昼時をお騒がせして誠に恐縮です。しかし、現存する日本最古の駅伝を守り、育て、学生たちの夢、日本長距離界の夢を育むため、今後も千代田区発着の壮大な箱根駅伝を、温かい目で見守っていっていただければ幸いです。
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