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自治体の皆さまへ

【特集】はじめまして ここにいるのは私自身です(3)

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◇点滴をしながらもできるパイロット。
とにかく人と関わるのが大好き
・あーりんさん パイロット歴3年
大学生のときに筋痛性脳脊髄炎を発症して中退しました。全身の痛みがあり、車いすでの生活をしていますが、分身ロボットの仕事を始めて、誰かの助けが必要な気が引けるばかりの生活から大きく変わりました。自由も感じ、ゆとりも出てきて、家族を食事に招待することもできました。家族の喜んだ姿に、認めてもらったと素直に感じることができ、本当にうれしかったです。
発症しても働けると思っていたのに現実は厳しい。定期的な通院があるだけで求人サイトの登録もできませんでした。でも、分身ロボットはリハビリや訪問介護の対応がある生活でも、少しの時間があれば働けます。私は脱水症状になりやすい体質なので、自宅で点滴をしながらパイロットをしています。
さまざまな「かかわり」を持てるのも分身ロボットの魅力です。えみふるの手話講座に参加した方が手話で話してくれることも。手話を勉強しているのでうれしい「かかわり」の場になっています。
今後は、病院での「話し相手」をやってみたいなと思っています。寂しい入院生活の中でちょっとしたおしゃべりをしてそばにいてくれる、そんな関係も素敵だなあ、って。

◇仕事仲間やお客さまとの「かかわり」は社会の見方を変えてくれた
・さえちゃんさん パイロット歴5年
身体表現性障害で一日中吐き気やめまいがあり、外に出てさまざまな音や光に触れるとさらにその症状は強くなります。10年以上ひきこもる生活を続けていました。今でも、外出はとても難しいのですが、平成30年に立ち上がった分身ロボットの実験カフェでの仕事で、それまでの日常は少しずつ変わっていきました。
この仕事は、一番の理解者である夫が「外に出られなくても仕事ができるよ」とインターネットで見つけてきてくれたのがきっかけです。働くことで生まれる“疲れる気持ち”も含めて、夫と働くことの実感を分かち合っています。給料でおいしいケーキを食べられるのも、すべては働くことができる「今」があるから。
お客さまや仕事仲間との「かかわり」から学ぶことは多く、ひきこもっていたときとは違い、社会への見方も変わりました。何より、さまざまなことを「想像する」力がつきました。ちょっとした自分の変化で、人は幅広く想像する力を持つことができるのではないでしょうか。
いつか「絵本の読み聞かせ」や「大人向けの朗読会」などを通じて、全国の図書館を旅してみたいですね。

◇「役に立ちたいのに立てない」を経験後、パイロットになり、仲間との交流も始まった
優羽さん パイロット歴3年
6年前に突然、脊髄小脳変性症で痙性対麻痺(けいせいついまひ)を発症、だんだん足に力が入らなくなり、歩けない生活になりました。障害者雇用でいくつかの企業で働きましたが、「障害者にいろんなことをさせるわけにはいかない」という社会風潮から、手応えのある仕事につけず、いつも0.5人前の扱いだったと感じていました。そこで、出会ったのが分身ロボットカフェの接客業。すぐに応募し、かなり早い段階からこのプロジェクトに関わっています。そのときは、もう「水を得た魚」になった気分。自分にとって最高のキャリアマッチングだったと思います。
今は分身ロボットのパイロットのほか、もともと携わっていたカメラの仕事と趣味で始めたタロットで占い師をしています。実は、始めたときからロボット越しの占いが夢だったんです。日本橋のロボットカフェでは、ロボット越しに人生や仕事の相談に乗り、占いもしています。
カメラで仲間のポートレートを撮るのも楽しみのひとつ。楽しい交流の時間にもなっています。

◇目を見て話ができることは自分にとって、とても大きなこと
みんてぃーさん パイロット歴1年
幼少期から体の筋肉が壊れていく病気を患っていて、電動車いすで生活しています。昔から自分に何ができるのか、何がしたいのか、分からずにいました。7年前に初めて分身ロボットを操作したとき、衝撃を受けました。いつか働きたいと思っていて、昨年10月に分身ロボットの仕事を始めたら、そんな自分がガラッと変わりました。役割ができたんです。本当にうれしいです。
実はコミュニケーション力が低くて、人と話すのは得意ではありません。でも、首の動く分身ロボットは目を見て話せるので、大きな安心につながっています。先日は、えみふるの納涼祭でたくさんの人が来てくださり、いろいろなお話ができてとても楽しかったです。これからも笑顔がもっともっと増えていくお手伝いがしたいと思っています。

■働くことで変わる 自分、仕事ができるってうれしい!
分身ロボットは多くの人に可能性をプラスします。移動が困難でも可能な働き方があり、見える景色が変わって、いろいろなことに興味を持つようになります。
障害を持つ方だけでなく、介護や子育てなどを理由にパイロットとして活躍している人もいます。幼い障害者が家族に勧めたり、障害を持つパイロットが看護する家族にこの仕事を勧めたりすることもよくあるようです。
短時間のシフト制だから続けやすく、自分の予定の合間を縫って行うことができます。体調に合わせてソファーに横になることも可能です。チームとして運営され、都合が悪いときは他の人が代わってくれることもあり、安心してエントリーできるのも魅力といいます。対価をもらえることも役に立っている実感と重なり、大きな喜びとなっているそうです。
分身ロボットの動きは、分かりやすく繊細です。うなずいたり、首を傾けたり、ときには泣いている赤ちゃんを「いないいないばあ」で笑わせたり。くだけた会話のなかでは「なんでやねん」といったツッコミをしたり、リクエストがあれば「あっち向いてホイ」に応えたりもします。どの動きもパイロットしだいです。

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