■咬むことと認知症
認知症患者は年々増加しており、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると予測されています。認知症は介護が必要となり、本人だけでなく家族の負担も大きく、更に、未だ有効な治療方法が確立されていない疾患です。しかし近年、口の健康が認知機能の改善や予防に良い影響を及ぼす可能性が様々な研究により分かってきました。
一例として、65歳以上の高齢者の内、歯の少ない人や義歯を入れていない人は、歯が多く残っている人や歯が少なくなっていたとしても義歯を入れている人と比較すると、認知症を発症するリスクが1.9倍であることを示した研究があります。この違いの要因として、しっかり咬むことができる人は野菜・果物・豆類・魚を多く摂ることができ、栄養摂取がより良いことが考えられます。また、しっかり咬むことで脳の血流や神経回路が活性化されることにより、認知機能の維持や向上につながるためと考えられます。
口の状態を健康に保つことは、認知症に限らず糖尿病、心筋梗塞・脳梗塞、誤嚥性肺炎など様々な全身の病気の予防や治療に良い影響を与えることが分かっています。いつまでも美味しく食事をとって健康でいられるよう、口の健康に心掛けていきましょう。
東村山市歯科医師会
<この記事についてアンケートにご協力ください。>