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■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
渋谷区出身で、スキー日本代表として江原道2024冬季ユースオリンピックに出場した清田華さんに、スキーを始めたきっかけやその魅力について伺いました。
江原道2024冬季ユースオリンピックスキー/フリースタイルスキークロス日本代表 清田華(きよたはな)さん
「もう一度、日の丸を背負って世界で戦えるように頑張りたいです。」
平成19(2007)年、渋谷区出身。全日本スキー連盟フリースタイルスキークロス強化指定選手、東京都スキー連盟アルペン強化選手。3歳の時にスキーを始め、小学1年生から本格的に競技に取り組む。中学時代には東京都大会で三連覇を果たした。今年1月19日から2月1日まで開催された江原道2024冬季ユースオリンピックにフリースタイル女子スキークロス日本代表として出場し、20位。
◆失敗を生かし、確かな上達を感じていく面白さ
◇清田さんがスキーを始めたきっかけについて教えてください。
清田:父が学生時代にアルペンスキー(以下、アルペン)をやっていたことに加え、世界大会でも活躍された元スキー選手の岡部哲也(おかべてつや)さんとご縁があったことがきっかけで、3歳から岡部さんのスクールでスキーを始めました。競技スキーに取り組み始めたのは、小学1年生の時です。岡部さんが北海道のニセコのスキー場に連れて行ってくださり、地元のチームに参加して初めてアルペンの練習をしました。ここでアルペンの魅力に触れてから、毎年のように練習をするようになりました。
◇スキーにはジャンプやクロスカントリーなどさまざまな競技がありますが、清田さんは主にどの競技に取り組んでいますか。
清田:「スキークロス」と「アルペン」です。スキークロスは「雪上の障害物競走」とも呼ばれている種目で、4人の選手が同時にスタートし、片側に流れている斜面や連続した起伏、ジャンプ台などの障害物を乗り越えながら先着を競います。アルペンは旗門(きもん)を通過しながら斜面を滑り降り、ゴールまでのタイムを競う種目です。
◇それぞれの競技のどのようなところに魅力を感じますか。
清田:スキークロスは、総当たり戦※1の場合は何度も同じコースを滑るので、1本目で失敗しても2本目ですぐ修正できるところが面白いです。また、ほかの選手と同時にスタートするので、トップ選手の滑りを間近で見ることができるのも魅力です。一方、アルペンは同じコースを1回しか滑ることができない競技です。ミスなく滑り降りることはトップ選手でも難しいのですが、失敗せず滑りきって、いいタイムが出ると、とてもうれしいです。どちらの競技も、爪先から頭のてっぺんまで全身を意識しながら滑らなくてはいけないのが大変です。スキークロスでは前の選手を追い抜いた時、ジャンプ台をうまく越えられた時、アルペンでは満足できるタイムが出た時に、スキーが本当に好きだと実感します。
※1 全員がほかの全ての参加者と一度ずつ対戦する試合形式。
◇複数人で同時に滑るスキークロスは、転倒や衝突のリスクが高い競技でもありますが、レース中はどのようなことを考えていますか。
清田:自分が首位にいる時は、ベストを尽くしながら後ろの選手たちが今どこにいるか、どこから抜かそうとしてくるか、どのぐらいの余裕を持っているかを考えています。自分が追いかける展開の時は、試合前のコースの下見で目星を付けていたポイントで抜かせるように、前の選手となるべく差が付かないように滑ることに集中しています。ちょっとしたジャンプの動きやターンの仕方でタイムが変わるので、全身に神経を張り巡らせて動作をコントロールしています。
◆家族や友人、コーチやチームメートに支えられてきた
◇普段はどのような練習をしていますか。
清田:冬の間は、まず11月から12月は自由に滑るフリースキーを中心に体を動かします。12月中旬から雪がなくなる翌年5月までは、スキークロスではジャンプやスタートの練習を、アルペンでは基礎トレーニングをして、体に動きを覚えさせていきます。スタート前にコーチにアドバイスをいただき、次の1本で修正することを繰り返して、毎回の滑走を無駄にしないようにしています。夏になると、毎日10kmのランニングや400段の階段ダッシュなどを繰り返し、柔らかく強い筋肉に鍛えていきます。夏も冬も、新潟を拠点にトレーニングを行なっています。
◇周囲の皆さんからはどのようなサポートや応援がありますか。
清田:両親は、新潟までの送迎だけでなく、練習の合間に食べる食事やスキー道具の準備をしてくれています。妹や祖母、親戚も応援してくれていて、いつも励まされています。学校の友人は、私が大会や練習で授業に出席できない時、ノートやプリントを見ながら勉強を教えてくれます。ほかにもチームメートたちやコーチ、メーカーの皆さまなど、多くの人たちに感謝してもしきれないほどお世話になっています。
◇1月から2月にかけて韓国で開催された江原道2024冬季ユースオリンピック※2では、「フリースタイル女子スキークロス」の日本代表選手として出場しました。大会の感想を教えてください。
清田:ユースオリンピックの9日間では、競技を通じて国境を超えた絆を深めることができたと思います。また、世界大会という大きな舞台でしか得ることのできない学びがありました。今回のユースオリンピックは、家族や友人だけでなく、特に、1月の能登半島地震で被災された皆さんに、少しでも勇気や元気を届けたいという思いで競技に取り組みました。大会を終えた今、もう一度日の丸を背負って世界で戦えるよう頑張りたいと思っています。
※2 14歳から18歳までを対象とした、国際オリンピック委員会主催のスポーツ大会。
◇海外選手とはどのような交流をしましたか。
清田:英語、中国語、韓国語など、さまざまな言語を使う各国の選手たちと、日常会話をお互いに教え合いました。スキークロスでは滑走が終わった後、ほかの選手たちと一緒にリフトに乗ってスタート地点に戻ることが多いのですが、その最中もコースを見ながら「このポイントが大変だったよね」「スタートが難しかったね」などと意見交換をしていました。
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