令和6年9月18日、高際区長が行った、招集あいさつの抜粋・要約です。
まず冒頭に、本区職員による通勤手当不正受給についてご報告申し上げますとともに、区民の皆様に深くお詫びを申し上げます。
この度、本区職員が通勤手当を不正に受給していたことが判明し、令和6年9月10日付で幹部職員6名および一般職員6名に対し、減給または戒告の懲戒処分を、さらに68名の一般職員に対し、所属部長による口頭厳重注意を行いました。不正受給の期間は令和5年4月からの1年未満が多数を占めていますが、平成23年10月まで遡り10年を超える者もおりました。
不正行為を未然に防ぐことができず、多くの職員が服務規律に違反し、公務員として極めて不適切な行為をしたことは、区民の皆様をはじめ、本区に関係する全ての皆様の区政に対する信頼を失墜させる重大な事案であり、区政の最高責任者として責任を痛感しております。
本件の重大性を鑑み、私および人事部門を所管する天貝副区長は、給料の2割を1か月減額、上野副区長および金子教育長は、給料の1割を1か月減額するため、今定例会に減額条例を追加して上程いたします。
今後、このような事態を二度と起こさないよう、綱紀粛正の徹底を図り、再発防止に努めるとともに、全職場、全職員一丸となって、区民の皆様の信頼回復に向け、全力で取り組んでまいります。
1.令和5年度決算
一般会計決算額は、歳入が1,473億円、前年度決算との比較では20億円の減、歳出は1,441億円、前年度と比較すると6億円の減となっております。
歳出決算額は対前年度比0.4%のマイナスとなりましたが、めまぐるしく変化する社会経済状況に対応するため、9次にわたる補正予算編成などにより、区独自の支援策も含めた物価高騰対策や妊娠期からの切れ目のない子育て支援の強化、学校給食費の無償化など、物価高騰に直面する区民生活支援や子育て支援の充実に積極的に取り組んできました。
特別区税は、9億円の増となる367億円、特別区財政調整交付金は24億円増となる377億円となり、ともに過去最大規模となりました。
「経常収支比率」は、特別区民税や財政調整交付金の増などにより、79.6%と昨年度より0.9ポイント改善しました。「公債費負担比率」は、前年度より0.6ポイント減少の2.6%となるなど、将来世代に過度の負担を残さない財政運営をさらに進めることができました。
このほか、「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、「実質公債費比率」、「将来負担比率」の4つの健全化判断比率は、いずれも国の基準を大幅に下回っており、本区の財政状況は、健全性を維持していると言えます。
特別区民税や財政調整交付金が堅調に推移したことを背景として、貯金と借金の差は360億円となりました。引き続き、基金の着実な確保や起債の有効な活用に努めるとともに、中長期的な視点に立った計画的な財政運営を行っていきます。
2.地震・風水害・熱中症対策
令和6年8月8日、宮崎県で震度6弱の揺れを観測した地震を受け、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震への注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されました。
本区は「南海トラフ地震防災対策推進地域」には指定されていませんが、直ちに区民の皆様に向け、家具類の転倒・落下防止の措置や食料・飲料水の備蓄、ご家族との連絡方法の確認など、災害への備えについて発信しました。一人ひとりが災害対応を自分事として捉えていただくことが極めて重要なため、今後も日頃からの呼びかけや、地域の方々が参加する救援センター開設訓練などに力を入れていきます。
また、7月25日、東北地方の日本海側を中心とする大雨災害により、本区の友好都市、防災協定締結都市である山形県遊佐町では、道路の崩落や河川の氾濫、床上・床下浸水など、甚大な被害に見舞われました。
区では、直ちに義援金や救援物資による支援とともに、7月30日から8月13日まで職員28名を3隊に分けて派遣し、罹災証明や災害ごみ置き場の管理などに従事しました。
災害廃棄物の処理や受援体制の整備が、復興に向けた大きな課題であることなど、多くの気づきがありました。被災現場で学んだ数々の課題を、防災対策に活かしていきます。
激甚化する自然災害による被害を最小限に抑えるためには、全庁一丸となって迅速かつ的確に対応することが重要です。区では7月30日、「震災・風水害対策本部会議」にて発災直後の各部局の役割分担や実際の従事業務などについて全部署で確認しました。また、9月2日には図上による総合防災訓練を実施し、首都直下地震発生による詳細な被害想定のもと発災直後の災害対策本部における各部の対応、医療対策本部の対応、両本部の連携など、実践的な訓練を行いました。
9月9日の防災会議では、備蓄物資計画について報告し、地域防災計画の見直しについてお諮りしました。委員からの様々なご意見などを踏まえ、情報通信、医療救護、避難者対策、備蓄・物流など、今般の社会情勢を踏まえた新たな地域防災計画を策定し、災害対応力の向上に努めていきます。
また、夏季の猛暑は「災害レベル」でした。4月の「熱中症特別警戒アラート」の運用開始など、取組強化は重要な課題です。熱中症による救急搬送者数、死亡者数は、高い水準で推移しており、高齢者がエアコンがあっても使用せず、屋内で発症するケースが多数を占めています。
本区では、今年度も熱中症対策本部を早期に立ち上げ、全庁で情報を共有しながら熱中症対策に力を入れてきました。区施設や区内薬局72か所を「としま涼みどころ」「涼みどころ薬局」として開放するほか、低所得の高齢者のみの世帯に対するエアコン設置助成の実施とともに、民生委員・児童委員や高齢者総合相談センター職員による75歳以上の単身高齢者世帯への戸別訪問などを行いました。
区民の皆様を守るため、来年度に向けてさらなる効果的な取組みを検討していきます
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