文字サイズ
自治体の皆さまへ

自治医科大学附属病院 連携協働コラム

7/43

栃木県下野市

~Jichi Medical University Hospital~
■自治医科大学附属病院が提供する高精度放射線治療
自治医科大学附属病院 放射線治療科教授 白井克幸

◆放射線治療棟のご紹介
皆さま、こんにちは。この度、当院にて令和5年12月に竣工となりました放射線治療棟ならびに、新たに導入された放射線治療機についてご紹介します。
放射線治療棟は延床面積3,129平方メートルで、鉄骨3階建となります(写真1)。1階は放射線治療機やラルストロン室、2階には外来診察スペースや治療計画CTが設置されており、3階には渡り廊下にて子ども医療センターや病院本館と接続されています。
これまで放射線治療部は本館地下にて運用していましたが、患者さんからは暗くて狭いイメージを持たれることが多かったため、新たな放射線治療棟では「患者さんに明るく穏やかな気持ちで放射線治療を続けていただくための空間づくり」をコンセプトとしました(写真2)。
令和6年1月から放射線治療棟での外来診療を開始していますが、患者さんには「明るい雰囲気で良い施設ですね」と、お褒めの言葉をいただいております。

◆最先端の技術を用いた高精度放射線治療
症放射線治療棟ではVarian社製の最新鋭の放射線治療機を2台(TrueBeam、ETHOS-HyperSight)新たに設置し、当院では合計4台体制での放射線治療となります。近年の放射線治療技術の発展は目覚ましく、放射線治療機器や計画装置の精度は高くなり、治療成績は改善しています。
これまで当院での年間放射線治療数は約1,000名と、県内でも最多でありましたが、今回の治療機の導入に伴いさらに多くの患者さんに高精度な治療を提供することが可能となりました。TrueBeamでは全ての放射線治療が対応できる汎用型ライナックとなります(写真3)。また、転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療システムであるHyperArcを備えています。
ETHOS-HyperSightは「即時適応放射線治療」や、高画質のCBCT画像を6秒で撮影できるなどの優れた機能を有しており、アジアパシフィック圏での初めての導入となります(写真4)。これらの最新技術を駆使することにより、病変にはより強力に、周囲の正常な臓器にはより副作用が少ない、放射線治療が提供可能です。

◆高精度放射線治療の対象となる疾患
高精度放射線治療の対象疾患についてお示しします(図1)。
強度変調放射線治療(IMRT)は、さまざまな方向から回転しながら治療を行う方法で、いわゆるピンポイントに病変のみに治療が可能です。これまで前立腺癌がんや頭とう頸けい部腫瘍、脳腫瘍に行われてきましたが、近年では進行期肺癌、食道癌、膵すい臓ぞう癌にも適応を広げて治療を行っています。IMRTでは分割して照射を行う方法が主流のため、20-35回(5-7週間)の治療期間となります。
一方で、5cm以下の小さな病変に対して、1回線量を大きく1週間以内の短期間で治療が終了となる定位放射線治療もピンポイント治療として発展してきています。これまで、I期肺癌や肝臓癌を中心に定位放射線治療は行われており、局所制御率は90%と良好な治療成績が報告されています。さらに、令和2年の保険適応の拡大に伴いオリゴ(小数個)転移や、5cm以下の脊椎転移性骨腫瘍にも定位放射線治療が実施可能となりました。例え転移があったとしても、病変の大きさや数が限られていればしっかりと治すことができる新たな治療法として、定位放射線治療は期待されています。
最後になりますが、私たち放射線治療科は、安全を第一としながらも、より良い放射線治療を患者さんに提供できるよう、努力いたします(写真5)。患者さんには安心して放射線治療をお受けいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

※詳細は本紙P.8~9をご覧ください。

▽著者略歴 白井克幸
平成15年群馬大学医学部卒。群馬大学、群馬県立がんセンターにて放射線治療医として研さんを重ね、これまで高精度放射線治療であるIMRT・定位放射線治療や粒子線治療を先進的に従事してきた。オハイオ州立大学に留学、放射線生物学研究にも貢献。令和2年より放射線治療科教授。

▽医療や健康に関する質問をお寄せください
医療や健康にまつわる疑問や悩みはありませんか?メールやFAXでお寄せください。
宛て先:総合政策課
【メール】info@city.shimotsuke.lg.jp
【FAX】32-8606

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU