■変形性膝関節症
上都賀郡市北部地区医師会幹事(今市地区)
森クリニック
森 亮善(もりりょうぜん)
変形性膝関節症とは、関節のクッションである軟骨が、加齢や筋肉量の低下などで擦り減って痛みが生じる病気です。軟骨が擦り減った分、骨と骨の隙間が狭くなり、骨のへりにトゲの様な突起物ができたり、骨が変形したりします。関節を覆っている関節包という膜の内側に炎症が起きて、黄色味がかった粘り気のある液体がたまることもあります。
女性は40歳、男性は50歳以降の発症が多く、男女比は1対4と比較的筋肉量が少ない女性に多い傾向があります。初期には動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、次第に正座や階段の昇降が困難となります。末期になると、安静時にも痛み、膝がピンと伸びず、歩行が困難になります。
擦り減った軟骨を元通りにして完治させる方法は確立されていませんが、治療することで痛みを緩和、もしくは解消させ、軟骨が擦り減っていくスピードを遅らせる効果が期待できます。
具体的には、鎮痛剤の内服や関節への注射などの薬物療法、膝の安定性を高めて痛みを和らげる運動療法(主に大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の筋力トレーニングなど)の保存療法から始め、効果がない場合は人工関節置換術などの手術療法を行うのが一般的です。
また、近年では再生医療(自分の幹細胞を培養して関節内に注入する治療)も治療の選択肢として注目を集めています。膝に過度な負担がかかる生活様式を改め、肥満を解消し、自立した生活を長く続けられるように心がけましょう。
※9月号「ビタミンの話 その6」のふりがな2カ所に誤りがありました。正しくは次のとおりです。お詫(わ)びして訂正します。
(1)壊血病(かいけつびょう)
(2)亢進症(こうしんしょう)
※今年度の元気予報の連載は、10月号で終了します。
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