コロナ禍によって国や地方自治体の行政サービスのデジタル化の遅れが浮き彫りになった。こうした社会情勢や国の政策の流れを踏まえ、本市では令和4年3月に「那須塩原市DX推進戦略」を策定し、各分野のDXを推進している。戦略では「市民サービスの利便性向上」「行政の業務効率化と働き方改革」「地域社会におけるDXの促進」の3つの基本方針を定めており、DXによる市民の幸福度向上を目指している。
今回の特集では、本市のDXの今とこれからを考えます。
我々の生活に確実に根付くDX…私たちは普段の生活で何かしらのDXの恩恵を受けているはず。DXは利用する側の能力も求められるが、私たちの想像を超えるサービスや社会の変革をもたらしてくれる。
■デジタル・トランスフォーメーション(DX)ってなに?
最近よく耳にするDX。これは「デジタル技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」を意味する言葉です。単に紙がデータに置き換えられたといったことではなく、皆さんの暮らしがデジタル技術によって、より良い方向に「変化」することがDXです。
■市役所とDXって関係あるの?
例えば、手続きのオンライン化や窓口での手続きを簡素化するなど、デジタル技術を活用することで、市民の利便性を向上させることができます。また、職員の業務を効率化し、行政サービスの質を向上することができます。
■地域データ連携基盤を構築
近年、デジタル庁がスマートシティ(※)の実現に向けて推奨しているデータ連携基盤」。さまざまなサービス分野でデータを有効活用するための土台となるほか、地域課題を解決する施策としても注目されています。
本市では、内閣府のデジタル田園都市国家構想交付金を活用し、「地域ポータル(詳細:本紙P8)」「電子母子手帳(本紙P9)」「デジタルエコポイント(本紙P9)」「観光パスポート(本紙P10)」の4つのアプリと接続させたデータ連携基盤を構築しています。
データ連携基盤(詳細P3上部)は、皆さんの暮らしにさまざまな恩恵をもたらします。
まだ始まったばかりのこの事業。今後も、接続するアプリ、蓄積する情報を増やしていくことで、これまでにはない新たなサービスが生まれる可能性があります。
デジタル技術を使って、「那須塩原に住んでいてよかった」「便利で暮らしやすい」と思ってもらえるような社会の仕組みづくりを進めていきます。
※スマートシティ…IoTやAIなどの先端技術を活用し、エネルギーや交通網などのインフラを効率化することで、生活やサービスの質を向上させた、人が住みやすい都市のこと。
◆データ連携基盤イメージ
●ID一つでさまざまなサービスの利用が可能に。
▽1つのID・PASSで複数アプリを利用
マイナンバーカードと連携し個人認証することで共通IDを発行。この共通IDを使用することで、基盤に接続しているアプリそれぞれでのアカウント作成が不要に。
●複数サービスの掛け合わせで、今までなかったサービスを創出。
▽データを活用し新たな価値を創造
エコポイントアプリの利用記録をもとに地域ポータルでイベントの配信をするといったように、基盤に蓄積された情報をアプリなどで用いることで、アプリ単体ではなし得なかったことができるように。
その他にも、タイムリーな情報が伝わりにくい観光客に目を向けてみると、災害情報と観光パスポートを組み合わせることで避難所の開設情報などを伝達することが可能になるなど、さまざまな効果が期待できます。
◆那須塩原市DX推進戦略の取り組みイメージ
※RPA…「Robotic Process Automation」の略語。パソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことで、パソコン上で日常的に行っているマウス操作やキーボード入力などの操作手順を記録し、それを高速で正確に実行することが可能。
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