気温が低くなり、大気中の湿度も下がり始める時期になった。秋特有の澄んだ空にところどころ広がる雲、その隙間を縫って、ほぼまん丸の月がくっきりと浮かんだ。十五夜の9月17日、「中秋の名月」が夜空に輝く
一年の中で月が最も美しく見える季節になった。十五夜のお月見は平安時代に貴族の娯楽として広まったという。その後、江戸時代に入ってから庶民に広まり、秋の収穫祭とともに楽しんだといわれている
現在でも私たちは、月や収穫物にちなんだものを食べたり、お供えしてお月見を楽しんでいる。丸い形をした団子は満月を連想させ、月に収穫の感謝を表す。稲穂に見立てたススキは災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う。芋や柿など旬の農作物をお供えし収穫に感謝する
花瓶にススキを差し、皿に団子を並べ、竹ざるに芋を飾る。月をバックに写真をパシャリと撮る。「うん、よし」美しい月を愛でる気持ち、収穫への感謝や翌年の豊作を祈願する気持ちは、長い月日が経った今も変わらず続いている
お月見には十五夜のほかに「十三夜」があり、十五夜の次に美しい月だといわれている。リーン、リーンと聞こえてくる虫の音や涼やかな秋の風に包まれ、季節の移ろいを感じながら、ゆっくりと夜空を見上げてみよう。10月15日の「十三夜」を楽しみに待つ。
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