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自治体の皆さまへ

公立久米島病院だより

10/22

沖縄県久米島町

9・10月の休診日:毎週日曜・月曜、9/17(火)、9/24(火)、10/15(火)

■医療者からの説明を深めるための「3つの質問」と「家族への説明」
病院長 並木宏文
われわれ医療者から、皆さまに病気・病状の説明後に「わかりましたか?」と尋ねると、ほとんどの方は「はい、わかりました」「わかりませんので、お任せします」と答えます。ですが、理解しているのか、自分のことでないと思っているのか、気にかけることがあります。十分に理解していないにも関わらず、空返事をして、そのままにしてしまう人が少なくありません。これは、わからないと伝えると「頭が悪いと思われるのではないか」「(医療者を)不快にさせやしないか」と患者さん側が気にすることで質問を控えてしまうからとされます。日本人、そして謙虚な久米島の方なら、一層その傾向が強いかもしれません。
ここで皆様が自分ごととして理解するために、医療者の説明後に投げかけてほしい3つの質問をご紹介します。
(1)私の病気のおもな問題点は何ですか?
(2)私は病気に対して何をする必要がありますか?
(3)それはなぜ私にとって重要なのですか?
の3つです(“AskMe3”と言います)。
医療者任せではなく「皆様にとって何が重要なのか」が自分で自分を大切にしていきましょう。
また、皆様が自分ごととして理解するためにやってほしいことは「医療者に受けた説明を家族に伝える」ことです。医療者から、「受けた説明を家族に伝えるとしたらどんなふうにお話しますか?」と聞かれた際は、医療者の前で試しにやってみましょう。説明できない場合、われわれ医療者がうまく伝えられていないこともわかるかもしれません(”Teach-back”法と言います)。
われわれ医療者は皆様への伝え方を工夫しようとしています。従来のような怒り、脅し傷つける方法ではなく、互いを思いやり、理解が深まるような関係性を望んでいます。みなさまのためにも、今回の内容をぜひ活用ください。

■へき地の生活課題:『運動不足と炭水化物』
公立久米島病院 小児科 渡邉 幸
前回に引き続き生活習慣についてのお話です。久米島町では10年以上前から小5から高校生までを対象に「子ども健診」を行なっています。当初は「高度肥満」の子が目立っていましたが、近年は肥満の子が減り「肥満はないけど糖尿病予備群」の子が増えてきています。糖尿病予備群とは「血糖を下げる力が弱くなっている状態」で「今の生活を続けているといつか『糖尿病』を発症してしまう」という状態です。
このような子に共通するのが「運動不足」+「炭水化物が好き」という生活習慣の傾向と「筋肉量が少ない」+「体脂肪率が高め」という体質です。現代の子が陥りやすい課題ですが、特に久米島のようなへき地の落とし穴もあります。

◇へき地と運動不足
都会では電車やバスなど公共交通機関を使うため駅やバス停まで必ず歩きますが、へき地では自家用車が中心のため、ほとんど歩かなくても家から目的地まで着いてしまいます。また、休日などもショッピングセンターなどの外出先がないため、室内で過ごす時間が増えやすく、自然の多いへき地にいる方が都会以上に運動不足に陥りやすいという残念な落とし穴があります。

◇筋肉量と血糖と炭水化物
この慢性的な運動不足が引き起こす最も深刻な問題は、実は「太る」ことではなく「筋肉量が増えない」ことです。筋肉はエネルギーの貯蔵庫とも言われ、食べた物のエネルギーはブドウ糖として筋肉に溜め込まれ、空腹が続くと筋肉がエネルギーを作り出します。筋肉量が少ない人は、ブドウ糖を貯める場所が少なく、血糖を調整する力が低下して血糖が上がりやすくなります。また、エネルギーの貯蓄がないために疲れやすく、また血糖が上下しやすく空腹を覚えやすいため、血糖がすぐに上がる炭水化物の摂取を好みます。結果的に、タンパク質や野菜不足となりやすく、筋肉量が増えずらいという悪循環に陥ります。
よって、久米島のようなへき地では、日頃から「体を動かす時間を確保すること」と「タンパク質と野菜を沢山食べること」の両方を心がけることが、とてもとても大事です。ぜひこの秋、体質を改善する生活習慣について、お子さんと一緒に計画を立ててみませんか。

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