■みんなに届け成長の鼓動(リズム)
演奏と演技を受け継ぐ鼓隊(カナリヤ保育園)
本年9月に、滋賀を舞台にした大舞台「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025」(令和7年)を前に、リハーサル大会を開催します。
43年前に行われた「びわ湖国体」では、カナリヤ鼓隊がJR守山駅前で演奏を披露して、全国から来市した選手を歓迎しました。今回は、軽快な太鼓のリズムと演技を今も受け継ぐ鼓隊を取材しました。
◆年に2回、大きな舞台で鼓隊の演奏と行進を披露
カナリヤ保育園の開園時から続いている愛らしい鼓隊は、4~5歳の園児のリズム遊び・音楽遊びの延長線上にあります。カスタネットに鍵盤ハーモニカ、大太鼓、小太鼓、シンバル、ボンゴ、ティンパニー。小さな時からたくさんの本物の楽器にふれて、音をならす楽しさを醸成していて、その集大成が鼓隊なのだそうです。
大きな舞台は年に2回。スマイルコンサートという名前の音楽発表会で、4歳児は、保護者などたくさんの観客を前に、衣装に身を包み、いろいろな打楽器で鼓隊演奏を披露します。5歳児になった運動会では、広い体育館で行進も組み合わせた演技と演奏をします。3歳児以下の子どもたちにとっては、かっこよくて憧れの姿です。
平成12年までJR守山駅前一帯で開かれていた「七夕まつり」では、大きくてあでやかな七夕飾りが揺れる銀座通りをパレードする鼓隊の雄姿が毎年の恒例でした。今でも、依頼があると地域に出て行って演奏やパレードを披露するそうです。
◆ごっこ遊びで感じる「楽しい」が成長の秘けつ
見事な演奏と行進を見せてくれる鼓隊なので、練習も大変なのだろうと思いきや、4歳児学年リーダーの辻亘(つじわたる)先生によれば、園に「練習」という言葉はないそうです。子どもたちにとって、すべては「ごっこ遊び」で、リズムも「バ・ナ・ナ」「ト・マ・ト」など、子どもたちに親しみのある言葉を使っているのだとか。
子どもたちが、遊びの中でリズムと音楽を楽しみ、無理なく成長できるように、保育士が楽譜を覚えて、分かりやすく知らせています。
昨年12月のスマイルコンサートでは、4歳児から始めた鼓隊で小太鼓やシンバルなどを使って、楽器ごとにリズムの違う、ママやパパが大好きな平成のヒット曲を演奏しました。ほかの年齢の子どもたちも鍵盤ハーモニカの合奏などを披露。5歳児は曲調やリズムが途中で変化する難しい演奏に挑戦。客席で見守る保護者たちから、たくさんの拍手をもらっていました。
共働きの忙しさの中で、子どもを「ほめる」が難しいこともあるかもしれません。だからこそ、わが子の成長を五感で感じてほめてあげられる「特別」な機会にしてほしいという、開園の頃から変わらないスタンス。舞台で一生懸命に演奏して、たくさんほめられた思い出は、子どもたちにとっても特別なものになると考えているそうです。
◆元気なリズムと演奏 思い出は未来まで響く
子どもたちにとって「好き」「楽しい」は成長を促す魔法のようなものです。
毎月一度、外部から指導に来る指導者も「途中でリズムが変わる難しい曲も、楽しそうにどんどん吸収していきます。子どもの力は本当にすごいですよ」とうれしそう。
もちろん、演奏も行進も全員が一番上手というわけにはいきません。しかし、歴代の園児たちが40年以上も受け継いできた鼓隊の活動について、堀井節子(ほりいせつこ)園長と辻先生は「太鼓を肩にかけて行進するので体力もつくし、積み重ねた『楽しい』は、音楽でなくても成長して新しい興味や挑戦したいことに出会ったときの力になると思います。鼓隊のリズムが子どもたちの未来まで、元気に勇壮に響いていってくれたらうれしい」と、笑顔で子どもたちを見つめていました。
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