■“心の力”を育てる土台をつくりたい
包括的性教育の活動をひろげる 原井有加(はらいゆか)さん
自分の性を理解することが、健全な体と心の育ちにつながると考え、包括的性教育を広げるために、「守山ふれあい出前講座」の講師に登録した原井 有加さんを取材しました。
▽〝恥ずかしいこと〟タブーの風潮を変えたい
6歳と4歳の愛娘を子育て中の原井有加さん(吉身三丁目)は、今年度初めて「看護師ママが伝える『生(せい)』教育講座」の講師に登録しました。
最初の活動は、コロナ禍で始めたオンライン講座でした。「わが子の質問にどう答えたら」「生理について教え方が分からない」など、思春期や性に関する対応の問題に直面して、質問をしてくる子育て中の保護者が多かったそうです。
原井さんは、昔ながらの「生理は恥ずかしいもの」「性はいやらしいもの」とタブー視する風潮を変えていきたいと思っています。ジェンダーを理解することは「自己理解を深めて、心と体を大切に生きるための学び」になると考えて、あえて包括的性教育ではなく「生」教育と呼んでいるといいます。
▽赤ちゃんから思春期まで自分を大切にする学び
生まれたばかりの赤ちゃんには、男の子と女の子がいます。原井さんが考える「生」教育には、ジェンダーの理解を深めることは、生きる力、心の力につながるというコンセプトがあります。
市内こども園や公共施設などに働きかけて開催された、乳幼児親子を対象とした講習では「赤ちゃんであっても、ふれる時は必ず声をかけて同意を得る」「心地よいタッチやふれあいを経験する」などを主眼に講習しているそうです。思春期前後の講習では、男性女性を問わず生理や性の仕組みといった基礎知識だけでなく、自分なりのバウンダリーを決めることや、「自分を大切にすることで相手も大切にできる」考え方などを主眼として講習するそうです。
2人の娘も「ママは体の大事を教えているの」と、幼いながらに原井さんの仕事を理解し、応援してくれています。
▽子どもたちに良い社会を活動を広げていきたい
原井さんは、中学生の頃から小児科や保育園で小さな子どもと関わる看護師になるのが夢で、包括的性教育の活動も漠然とやりたいと考えていました。
在住ではなかったけれど中学、高校、専門学校と守山で過ごして憧れの看護師になりましたが、県外に出て初めての子育ては職業柄の自信があだになって1人で抱え込み、育児ノイローゼのようになってしまったそうです。
守山のまちに戻り、カウンセリングや家族の協力、「やりたいこと」を思い出したことで心がほぐれ、資格を得たり知識を学んだりして、明るく前向きな原井さんに戻ることができたそうです。
原井さんは「看護師として、1人のママとして、娘や子どもたちに良い社会を残したい。小さな一歩かもしれないけれど、活動を広げていきたい」と笑顔を見せていました。
原井さんは、包括的性教育を広げようとする精力的な活動が認められ、7月に開かれた「ビューティジャパン近江大会」で、準グランプリに輝きました。近江代表として全国大会に出場するそうです。
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