■ジェンダーバイアスと地域社会の現状
少子高齢化等による自治会役員の高齢化や役員のなり手の減少、要務の負担感の増加、自治会からの退会、老人会や子ども育成会の休会・解散等が課題となっています。地域コミュニティの崩壊に危機感を感じ、地域コミュニティを回復するために、自分は何ができるのかと模索される住民はどれぐらいおられるでしょうか?
皆さんに地域の現状を伺うと、様々な地域が自治会の運営や団体の困り事があると感じられています。町のこれからを考える組織や自治会、団体の役員の大半は男性となっています。近年人手不足が問題となっていますが、なぜ女性がまちづくりや地域づくりに参画しにくいか考えられたことはありますか。
■地域の女性の声
問い:地域づくりになぜ女性は参画されないのか、または、参画できないのか。
・今日の家庭の経済力維持は共働きが基本。さらに女性は、子育て、家事、介護と、一生を通じても負担感は大きい。共働きでなくてもフルタイム業務の家庭生活で女性が自治会を担うのは難しい。
・以前に、自治会評議員を頼まれたことがあったが、評議員会そのものが、男性の価値観で創られた組織なので、女性には難しいと感じ1年で辞退した。
・自治会の組長会に主人が仕事で出席できないため、私が代理で出席したが、出席している女性の中にまで、「女性は反論や建設的な発言はしてはならない」「おしとやかが基本」という空気が蔓延していた。
・近年、ネット社会も進行し、地域の限定はできないが、子育てや高齢者支援等、同じ趣味や考えを持つ女性グループ等が増加していることは確かである。
・男系社会で創られた自治会を根本的に考え直す時期ではないか。
・ジェンダーバイアス※1やジェンダーギャップ※2は、女性の人生の選択肢や可能性を拒み、剥奪にも値する。地域任せになるのでなく、行政も啓発のみでなく、改善ルールを構築してほしい。
(2023年度地域別人権学習会での意見から)
これからの地域社会は、地域人口や生産労働人口の減少により、様々な地域組織や団体も、統廃合や作り替えの必要があるのかもしれません。
また、上記のような女性の声から、今日までと同じ地域づくりではなく、「ダイバーシティ(Diversity)」(多様性を意味する言葉で、人種や性別、宗教、価値観、障がいといった様々な属性をもった人たちが、組織の中で共存している状態のこと。)を遵守できる地域づくりが必要不可欠になります。
また、近年急速な労働者不足を鑑み、国の入管法も「技能実習制度」から「育成就労制度」へ変更となり、より長期の労働へ変更し、特別資格を取得すると家族で定住されることも予想されます。ダイバーシティの取組は、地域が崩壊してしまってから動き始めても難しいのではと思います。
皆さん、地域での気づきから自分たちができることを考えてみましょう。
※1 男女の役割について固定的な観念を持つこと。
※2 男女の違いにより生じる格差のこと。
問合せ:愛荘町人権教育推進協議会(事務局)教育委員会生涯学習課
【電話】0749-42-8015【FAX】0749-42-8014
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