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りっとう再発見201

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滋賀県栗東市

■笠形木製品の保存処理
栗東市安養寺に所在する椿山古墳は、古墳時代中期(5世紀)では滋賀県最大の古墳として知られています。墳丘の全長は99m。その周りに幅15~16mの周濠がめぐらされています。平成28年度には、周濠の一部で発掘調査が行われ、全国最大級の笠形木製品が出土しました。
笠形木製品は「木製埴輪」とも呼ばれているもので、貴人の日傘を模したものとされています。全部で6点出土し、いずれもコウヤマキという木材を使用していました。平面形は楕円形で、全国最大級のものは2点あり、長径が75cmを超えます。全国で最大のものは誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳(大阪府堺市・応神陵古墳)出土のものです。
笠形木製品は千数百年もの間、周濠の粘土にパックされた状態でその形を維持してきました。しかし発掘調査で発見され空気中に出されると、乾燥が進み変形してしまいます。そのため、こうした木製品は水漬け保管しますが、その状態では展示公開が困難な上、腐食してしまうことがあります。このため、平成30年から令和元年まで、薬品を使った保存処理が実施されました。
木製品の保存処理にはいろいろな方法がありますが、この笠形木製品の場合大型であること、針葉樹材であることから、真空凍結乾燥法により処理されました。食品のフリーズドライと同じ方法です。この方法で処理を行うと遺物が比較的軽量に仕上がります。
奈良県の研究所に運ばれた笠形木製品は、写真撮影やクリーニングを経て、強化のために薄い樹脂に含浸されました。含浸後は、紙で保護され、真空凍結乾燥機に配置されます。庫内ではまずマイナス40度で予備凍結され、その後真空の状態でじっくりと乾燥されました。大型の木製品であるため、乾燥には半年以上かかりました。乾燥後には、接着や彩色を経て処理が完成し、栗東に帰ってきました。
現在、栗東歴史民俗博物館で開催している「埋蔵文化財発掘調査成果展」では、椿山古墳から見つかったすべての笠形木製品を公開しています。処理後の笠形木製品を展覧会として公開するのは初めてです。笠形木製品が古墳に並べられていた光景を想像してみてください。

会場:栗東歴史民俗博物館
会期:~7月21日(日)
※展覧会詳細はお知らせ版8頁に掲載

問合せ:出土文化財センター
【電話】553-3359【FAX】553-3514

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