■不思議な形をした石製の道具
この石を見て、どのように使う道具か想像できますか。これは縄文時代以降に使われていた石器の一つで、今回紹介するものは全長約7·3cmのもので、南溝畑(みなみみぞはた)遺跡(長束(なつか)町)の発掘調査で出土したものです。
この石は、形が匙(さじ)(スプーン)のように見えることから「石匙(いしさじ)」と呼ばれるようになったとされていますが、実際には何かを切ったり削ったりするナイフなどとして、臨機応変に利用されていたようです。
一般的に東日本では縦長、西日本では横長の三角形に近い形状のものの出土が多い傾向にありますが、この石匙は縦長のもので、左側の側面に刃がつけられています。
江戸時代に現在の草津市で暮らし、石の長者として知られる木内石亭は、その著書『雲根志(うんこんし)』で、石匙を“天狗飯匕(てんぐのめしかい)”(匕は匙のこと)と紹介しており、使い方にこそ言及していませんが、想像力をかき立てられる不思議な形の石だったようです。当時の人たちが天狗の使ったスプーンだと考えた時には、石匙を使って美味しそうにご飯をかき込む天狗を想像していたのでしょうか。
今回紹介した石匙は、4月3日(水)~26日(金)までの間、歴史文化財課のカウンターで展示しますので、ぜひご覧ください。
※詳細は本紙の裏表紙をご覧ください。
問合せ:歴史文化財課(6階)
【電話】561-2429
【FAX】561-2488
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