■『源氏(げんじ)物語』を広めた北村季吟(きたむらきぎん)
千年以上にわたり読み継がれる小説『源氏物語』。
紫式部(むらさきしきぶ)による『源氏物語』が現代人に親しまれている背景の一つには、野洲ゆかりの偉人である北村季吟(1624~1705年)の業績があったことはご存じでしょうか。
北村季吟は野洲郡北村(現・野洲市北)を故郷とする、江戸時代の俳人・歌人・国文学者です。松尾芭蕉(ばしょう)も季吟に教えを受けました。晩年は江戸幕府に招かれて和歌に関する学問を司る初代歌学方(かがくがた)をつとめ、5代将軍の徳川綱吉に仕えました。
その活動の初期は、多くの古典文学の注釈に力を注いでいます。なかでも、『源氏物語』の注釈書『湖月抄(こげつしょう)』は季吟の代表作です。同書は、頭注(とうちゅう)を付し、本文の行間に傍注(ぼうちゅう)を付す形式を確立したことで(写真を参照)、難解な古典文学を庶民に至るまで読めるものにしました。
このスタイルが広く受け入れられ、江戸時代のベストセラーとなりました。さらには、近代における文化人にも読み解かれたことが、『源氏物語』が現代に至るまで読み継がれる契機となりました。
博物館では下記のとおり、北村季吟の生誕400年を記念した企画展を開催します。江戸時代の大学者である季吟について学ぶ機会となれば幸いです。
(博物館学芸員 齊藤慶一)
※記載写真は本紙をご覧ください。
■秋期企画展「北村季吟-芭蕉の師・生誕400年記念-」
会期:10月12日(土)~11月24日(日)
※期間中の休館日:月曜日(10月14日、11月4日は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカードなどをご提示ください。)
問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413
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